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【令和3年7月豪雨】災害支援3か月レポート(熱海市土砂災害)

熱海土石流の発災から3か月が経ち、”緊急災害支援”が終了しました。
OBJ支援チームは現地を離れ、今後1年間は県内よりスタッフが定期的に通い”復興コミュニティ支援”を継続していきます。

甚大な被害をもたらした熱海土石流発生からこれまで、被災地に関心をお寄せくださり、また多くの応援メッセージや貴重なご寄付・ご協力をいただきましたこと心から感謝申し上げます。
皆さまの温かい気持ちとともに活動してまいりました3ヵ月間のレポートをご報告させていただきますのでご覧ください。

【令和3年7月豪雨】災害支援2か月レポート(熱海市土砂災害)はこちら
【令和3年7月豪雨】災害支援1か月レポート(熱海市土砂災害)はこちら
【令和3年7月豪雨】緊急災害支援中間レポート・中長期生活復旧支援スタート(熱海土砂災害)はこちら

無料バス送迎支援(移送支援+生活支援+心のケア支援)

熱海土砂災害 移送支援

9月1日より路線バスの運行が再開されましたが、避難指示や降雨により予告なく運休があるため、継続して無料送迎バス支援を実施しました。
ドアツードア移送支援はやはり喜ばれます。

80代の女性を美容院へお連れした際は、2か月ぶりの散髪に大変喜んでいらっしゃいました。
「髪を切るとなんだか嬉しい。気分がいいね。連れていってくれてありがとう。」

90代のご夫婦は公共料金の支払いと買い物などのため市中心部へ。
「顔の知っている人が運転してくれるから安心だね。いつも助かってます。」

ほんのささいなことかもしれませんが、こうして日常を一つずつ取り戻すステップがレジリエンスを強めます。

近い距離でも土石流の現場を挟んで通行止めがあり、移動が困難な災害地の現状です。
疲れやストレスが蓄積されている住民の健康状態の変化に注意を払いながら支援させていただきました。

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会【熱海市土砂災害】生活まるごと(ソーシャルワーク)支援=地域のレジリエンスを引き出す

伊豆山キッズクラブ、絵本貸し出し、公民館開放(子どものハートケア支援)

伊豆山キッズクラブ 仲道公民館

いつもの小学校へはまだ通えず、臨時の小学校へバスで登下校している児童たち。
仲道地区には公園という公園がなく、復旧作業で大型ダンプや工事車両が通行しているため安全な遊び場が必要です。

引き続き伊豆山キッズクラブを開催しつつ、下校時間に合わせて仲道公民館を開放し、クラブのない日も子ども達の居場所・遊び場作りに努めました。
福島県南相馬の児童クラブ運営経験が活かされています!)

消毒用スタンドを寄贈し(最初に町内会長が使い、うなずいて満足そうに笑っておられました!)新型コロナ感染症対策を実施、絵本寄贈にともない絵本用本棚とベランダ通行用すのこも作成し、子ども達を迎える準備は万端です。

少しずつ利用する児童が増え、今では20人前後の笑い声が響くように!
絵本の貸し出し、宿題タイム、体を使った遊びなど、高学年を中心に自主的にマナーを守りつつ、伸び伸びと過ごしています。
もちろん、未就園児も引き続きキッズクラブを楽しんでいます。

キッズクラブが始まる前までは、子ども達が公民館に集まって遊ぶことはなかったとのことでしたが、楽しく遊ぶ子ども達の声に引き寄せられるように住民の皆さんも集まるようになりました。

座布団を使った遊びを始めたり、鬼ごっこには大人も巻き込まれたり・・・子ども達のための居場所作りでしたが、今では地域住民の癒しの場となっています。

一緒に絵本を選びながら、通学していた学校へ通えない寂しさを話してくれた時には少し心が痛みました。
こうした場がしなやかな心を作っていってくれるだろうことを期待せずにはいられません。

支援チーム活動の最終日、多くの子ども達と保護者の皆さんが来てくれました。
この地と皆さんが守られ癒されていくことを祈りつつ、10月からは定期的に足を運び開催していきます。

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健康たいそう(地域交流支援)

伊豆山健康たいそう

大好評の「健康たいそう」にはレクリエーションも取り入れ、9月も開催しました。

クラフトの折り鶴作りでは
「折り紙なんて久しぶり。昔を思い出して楽しかった。おしゃべりも楽しい!」
と、体操はもちろんですが、その後のお茶のみサロンのほうが喜ばれている感じも?!

肩こり、腰痛、膝の痛みから内臓の不調をはじめとするさまざまな症状を、背骨の歪みの矯正により改善する「 背骨コンディショニング」も実施。

開催前の事前予約から盛況で、40代から80代まで幅広い年齢層の住民さんが参加し、インストラクターの指導のもと1時間半汗を流しました。

「いい運動になったわ。普段やるのと違って、背中がスッとなった感じがする。気持ちいい疲労感だわ。」

伊豆山小学校の体育館へ集まった住民の中には3ヵ月ぶりの再会を喜ぶ姿も見られ、支援活動を通して交流が進み地域復興の手助けの一役を担えたこと、住民の気持ちが落ち着きを取り戻しつつあることを感じています。

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【熱海市土砂災害】笑顔の先にある心のつながりを目指して

物資配布支援(戸別訪問による心の支援)

【熱海】心と心をつなぐ復興支援

熱海市から配給されたお米を2合に小分けし5kgにまとめ、独り暮らしの高齢者へ配達しました。
お弁当やお茶の配給、毎週2回の物資配布所開所もサポート、戸別に訪問しながら安全確認と対話による心の支援を行っていました。

お米の配布をお手伝いいただいたボランティアの消防士さんは
「自分が経験した消防の災害支援活動は、肉体労働的な作業が主な内容でしたが、今回住民さんと直接触れ合い、会話をして災害当日や相談事を聞けたことが新たな発見で、よい経験になりました。」
と話してくれました。

また、
「公的な支援活動をする隊と生活支援をする民間団体が、現場レベルで相互理解をして協働できれば、もっとよい支援活動ができると思う。」
とも。

熱海の支援では専門家の方によるプロボノ支援、絵本専門士や各種インストラクターのご協力などにより多角的な支援を行うことができました。
こうした出会いに感謝し、よりよい支援活動に向けて関係を構築していきたいと考えています。

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【熱海市土砂災害】心と心をつなぐ復興支援

高齢者の生活支援、見守り支援(プロボノ支援)

熱海土砂災害 高齢者支援

伊豆山地区で発生している特殊詐欺事案のため、静岡県警熱海警察署のチラシを一人暮らしの高齢者宅へ配布しました。

「一人暮らしをしていると人と会うことが少ないから、来てくれるだけで嬉しい。この辺りを回ってくれてるから防犯にもなる。会いに来てくれてありがとう。」
少し人生経験を交えたお話もお聞きすることができました。

民生委員さんから「坂の上の高齢ご夫妻をみてほしい」と依頼を受け、お宅を訪問。
高齢者単独での外出は様々なリスクがあるため、家族から止められているケースも多くあります。

ご家族に認知症や障がいのある高齢者と同居している方は、通常の避難所へ行くことが困難なため、近隣の福祉施設にショートステイしておられました。
介護をしている方は、避難生活の中、避難所と福祉施設と自宅を行き来しなければなりません。
現在は在宅にて通常の生活に戻りつつありますが、ご本人はもちろん、ご家族の皆さんにとっても安心できるような支援が必要です。

また、様々な理由から、ためらいや遠慮をして支援を受け入れられない方も少なくありません。
そのため、問題の解決に時間を要するケースがありました。
支援を受け入れやすい環境・関係作りの一環として、戸別訪問支援は必要だと改めて思いました。

土石流現場から数十メートルの独居高齢者宅へ訪問した際は「いつも来てくれてありがとう」と冷たいお茶とお菓子をいただきながらお話をさせていただきました。

足場が隠れるほどの草が生えているご自宅までの階段や生活通路など、安全確保のための除草作業も行いました。
「階段が綺麗になってまあ、ほんとにありがとう。もう、草刈りやろうにも体が動かないからどうしようかと思ってた。ほんとに助かるよ、ありがとう。」

住民の方と一緒に作業することもあります。
一緒に石垣の草刈りをした電気工事会社に勤めていたという男性の方は、近隣の建物を指しながら現役のころのお話をしてくださいました。

災害から3ヵ月、住民の皆さんも「自分たちでできるところはやろうと思ってる」「いつまでも頼ってちゃいけない」と、確実に復興の歩みを始めている姿があります。

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物資寄贈

熱海土砂災害 椅子寄贈

社協からの要請により、みなし仮設住宅へ移るためのシャンプーとコンディショナーを寄贈し、福祉施設心象めぐみ会さんへは折り畳みパイプ椅子を、物資配布や送迎支援に協力いただいたおはなさんへ作業用ゴム手袋を寄贈しました。

搬入に協力頂いた熱海市内の吉野家商会さんは、東日本大震災の被災地へ支援を続けてこられた方。
”あきらめねえよ!!”タオルの収益金を寄付されています。
東北を応援して寄付してくださっている方と、東北から熱海へ被災地支援に入っている私たちの活動と気持ちががリンクしていることにとても励まされました。

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台風14号のため避難所準備

仲道公民館が避難指定場所となったため、住民の避難を想定し公民館に詰めていました。
市から届いた毛布やマットを使用できるように整えて準備していましたが、幸いにも避難する必要もなく台風は過ぎていきました!

様々な活動において町内会をサポート

熱海土砂災害 献花 お別れ会 感謝状

3か月間、伊豆山地区の自治体の皆さんとは本当によい関係を築かせていただきました。

その信頼により、時には公民館で車の通行証の発給補助を行い、申請に来られた関係者の方々には「私たちが発給するのもなんですけど・・・笑」と言いながら発行させていただきました。

年間行事の消毒作業もお手伝い。スイングフォッグという機材はドイツ製で、総重量15kg。これを男手が交代で作業し、作業後のお疲れ会ではすっかり仲間として認定された感は嬉しかったです。
こんな時にやらなくても・・といった声もあったようですが、こんな時だからこそ「いつもやっていた当たり前のこと」は地域のレジリエンスを強めてくれます。色々な意味で傷ついているコミュニティが「いつも通り」にできるよう、私たちはサポートさせていただきました。

その他、書ききれないほどの支援活動を行い、あっという間の3か月間。
最後には町内会の全会一致で感謝状授与式を開催いただき、高橋町内会長より感謝状が読み上げられ、手渡されました。
感謝状は、応援、ご支援、ご協力いただいた皆さまを代表し、しっかり受け止めさせていただきました。

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支援内容(7/4~9/30):
折り畳みパイプ椅子、シャンプー、コンディショナー、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、絵本、消毒スタンド、不織布マスク、アルコール消毒液、ラテックスグローブ、清拭タオル、非常食セット、ペットボトル飲料水、お茶、麦茶、缶ジュース、果物ジュース、ミルクティー、缶コーヒー、菓子パン、総菜パン、お弁当、食事配布用ビニール袋、簡易トイレ、懐中電灯、ラジオ、デッキブラシ、消毒液、日焼け止めUVジェルほか
(延べ5329名を支援)


今回の熱海市土砂災害緊急支援では、東日本大震災からこれまでの経験を活かし、また多くの皆さまにご協力いただきながら、誰一人孤立させない支援を心がけ活動してまいりました。

人も地域も回復する力を持てども、これまで経験したことのない甚大な災害に対する免疫は持ち合わせていない場合が多く、被災後しばらくは外からの手助けが必要です。

私たちが支援に入ってきた地域の多くでは「初めてのことで何をどうすればよいのか分からない」というところから始まります。
が同時に、外部支援を「受ける」ことも初めてのことが多く、とまどいを隠せない自治体も少なくありません。

それでも私たちは、公的支援にとりこぼされる人々がいると想定し、発災後には被災地へ入ります。
これまでの経験から、残念ながら適切な情報や支援にたどり着けない人がいることを知っています。
また、心の寂しさや孤独の中で苦しむ人々がいます。

SDGs(持続可能な開発目標)の主な目的として掲げられている「誰一人として取り残さない」
そんな世界の実現に向けて、オペレーション・ブレッシング・ジャパンは組織的に支援活動を行うNGOとして、これからも助けが届きにくい人々を探し出し、支援の手を差し伸べていきたいと考えています。

いざという時、機動力をもって迅速な支援活動ができるよう、ぜひ継続的なご支援もご検討ください。
そして一緒に、誰一人孤立させない支援活動を組み立てていきましょう!

毎月500円からの継続支援(マンスリーサポート)

熱海市伊豆山地区の支援活動は下記パートナー団体の協力により実施しています(あいうえお順)。
一般社団法人クラッシュジャパン
公益財団法人 日本YMCA同盟国際青少年センター YMCA東山荘
社会福祉法人 十字の園
社会福祉法人ミッションからしだね
日本国際飢餓対策機構(JIFH)
ACT japanフォーラム
*各専門職の皆さま
*ボランティアの皆さま

オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、社会課題の解決を組織第一の使命とし、被災地からの支援要請および支援ニーズに基づき活動する特定非営利活動法人です。45の日本の国際NGOが加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF)が作成している「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるNPO等の災害対応ガイドライン」を遵守し支援活動を行っています。

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