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【熱海市土砂災害】プロボノ連携支援!上智大学グリーフケア研究所認定臨床傾聴士 荒木さん

熱海土石流災害から2か月の伊豆山仲道地区、浜地区、岸谷地区。
生活復旧支援として伊豆山キッズクラブや一人暮らしの高齢者の戸別訪問支援などを継続しています。

9月半ば、プロボノとして同行いただいた上智大学グリーフケア研究所認定臨床傾聴士 荒木 昌子さんのレポートをご紹介します。

熱海市土砂災害 プロボノ支援

上智大学グリーフケア研究所認定臨床傾聴士 荒木さん

グリーフケア者の立場から ~訪問活動に同行して~

熱海市伊豆山土石流災害から2ヶ月が経過した9月初旬に仲道地区・浜地区・岸谷地区にお住まいのご家庭を訪問する活動に同行させていただきました。

現地入りしてまず驚いたことは、あまりにも急峻な坂道ばかりの地区だということです。
『車を使わずに、まずは歩いてこの地区のみなさんの思いを感じてほしい。』とスタッフの方に促されましたが、ほんの数百メートル歩いただけで息があがってしまうことに焦りを感じました。

私が伺う直前に公共バスが運行を再開したばかり。
厳しい暑さの中で、住民のみなさんはどんなにかご不安な思いでこの坂道を登っておられたのだろうかと思うと、それだけで心に痛みを感じました

熱海市土砂災害 プロボノ支援

私が訪問をさせていただいた地区は≪規制線の外側≫の地区です。
≪規制線の内側≫へは行政の支援が比較的行き届いていますが、≪規制線の外側≫にいる住民の方にも支援がまだまだ必要とのこと。

自宅に戻ることはできても、被災者であることには変わりない≪規制線の外側≫の方たちのお困りごとを支援するために、OBJさんは訪問支援活動をなさっていました。『規制線の外側の方たちが回復していくことで、内側の方たちの支援に回っていただくことができる。僕たちはそこを目指して活動しているんです。』という言葉に、『絶対に助けたい』という強い想いを感じました。

熱海市土砂災害 プロボノ支援

あるご高齢の方のお宅を訪問させていただいたときのことです。
『コスモスの苗をもらったの』という言葉が心に届きました。

『コスモスはどちらに植えられるのですか?』とお尋ねすると、裏の畑に植えるとのこと。
『畑を見てみたいです!』と言って、さっそく見せていただくことにしました。
そこには大きく育ったひまわりがあり、トマト、ナスなどの野菜が栽培されていました。

その横に、コスモスを植えるために耕し始めたばかりの部分があります。
植えられていない苗の数を考えると、まだまだたくさん耕す必要がありそうです。
『一緒に耕してもいいですか?』そうお尋ねすると、うんうんとうなずいて、大きなスコップを貸してくださいました。
屋外で横に並んで作業をしていると、次第に会話がはずんでいきました。

『この畑はね、6月からタダで貸してもらってるの。雑草がすごくて、全部ひとりで抜いて綺麗にしたのよ。ひまわりを植えたり、野菜を育てたりしていたんだけどね、水道がないから、ジョウロで(坂の上にある)家から往復してお水をあげていたのね。そしたらほら、こうやってお隣さんが私のために、ご自分の家の水道管にわざわざ長いホースをつけてくれたのよ。うれしくて涙がでたの。秋になって、綺麗にコスモスの花が咲いたらみんな喜ぶかな?』

秋桜

畑は、規制線のすぐ近くにある場所でした。少し目線を横に向けるだけで、土石流で流された箇所が視界に入ります。この方も、毎日その光景を目にしていらっしゃるはず。6月に耕し、種を植え、7月に被災されたあとも、大切にお水をあげ続けたのだろう、この光景を前にしてどんなお気持ちで水やりをなさっておられたのだろうかと思うと、胸がしめつけられる思いがしました。

2時間ほど一緒に作業をさせていただいたとき、手を止めて、ぽつりとおっしゃいました。
『まだ、ひとり、見つからないのよね・・・』
私も手を止め、その方の指先をじっと見つめていました。私が何かを言葉にすることは絶対に違う気がして、ただただその沈黙に寄り添わせていただきました。

その場を離れる時がきて、『また来ますね!』そう言った瞬間、ふと罪悪感がよぎりました。私が訪れることができる回数には限りがあるのに、なんて無責任なひどい言葉を口にしてしまったんだろうかと。落ち込む私に、スタッフの方が声をかけてくださいました。『僕たちも、また来ますって言っても、行けないことがあるよ。でもね、またねは、すぐじゃなくてもいいと思うんだよ。2年経っても、5年経っても、覚えていてくれて喜んでもらえるんだ。たとえば逢えなくても、手紙だっていいんだよ。約束できなくても、僕はまた来ますねって言う。それが、その人の生きる希望になるかもしれないから。』

熱海市土砂災害 プロボノ支援

今回の訪問を通して、たくさんの笑顔に出逢いました。
OBJさんが本気で心の支援に向き合っていらっしゃるので、住民の方の心にもその想いが届いているのでしょう。OBJのスタッフさんを見かけると、みなさん近寄ってくださって『この間はありがとうね!』『いつも助かるよ!』『おつかれさま!』と笑顔を向けてくださいました。でもその笑顔の中には、私達が計り知ることのできない大きなグリーフが秘められているのだと感じました。自宅に戻ることができても、いつも買い物をしていたお店が流されてしまったり、ご近所の方が他の地域へお引越しをされることも、その方にとってはかけがえのないグリーフです。その方の哀しみは、他者の哀しみと比べることはできません。つらさを口になさらないのは、つらくないからじゃない、語ることができないほどのつらさだからなのだと、大きな苦しみを抱えながら、それでも今を必死に生きておられる多くのやさしい笑顔から感じさせていただきました。

発災から数カ月しか経過していない被災地における心の支援は、オンラインでは対応することが難しいと感じました。
グリーフケアにはマニュアルがありません。目の前におられる方の、深い部分にある思いにわずかでも触れさせていただくには、丁寧に寄り添わせていただくための時間が必要です。同じ空間を共にする距離感がとても大切です。

今回の経験を通し、被災された方の想いに触れ、同じ道を歩き、同じ景色を見て、目の前の方の大切な人生の一コマをわずかながらでも感じさせていただけたことが、本当に尊く有難い時間でした。毎年コスモスの花が咲くころ、ともに畑で過ごした時間をあたたかく思い出すことと思います。


*グリーフケアとは、”Grief(身近な人、大切な人との死別による深い悲しみ)”を”Care(気にかける、お世話する)”するという言葉の通り、喪失の中で悲嘆に暮れる人に寄り添い、理解し、時間をかけて回復していけるよう支援すること

熱海市伊豆山地区の支援活動は下記パートナー団体の協力により実施しています(あいうえお順)。
一般社団法人クラッシュジャパン
公益財団法人 日本YMCA同盟国際青少年センター YMCA東山荘
社会福祉法人 十字の園
社会福祉法人ミッションからしだね
特定非営利活動法人CWS Japan
一般財団法人日本国際飢餓対策機構(JIFH)
*各専門職の皆さま
*地域ボランティアの皆さま

生活復旧支援への資金を必要としています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。

熱海市土砂災害支援活動に寄付する

オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、社会課題の解決を組織第一の使命とし、被災地からの支援要請および支援ニーズに基づき活動する特定非営利活動法人です。45の日本の国際NGOが加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF)が作成している「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるNPO等の災害対応ガイドライン」を遵守し支援活動を行っています。

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