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【熱海市土砂災害】生活まるごと(ソーシャルワーク)支援=地域のレジリエンスを引き出す

土石流の現場ではまだまだ捜索活動も続いていた8月。
一方では生活復旧のフェーズの中、喪失感や不安な気持ちが顕在化する時期に入り、次第に無料バス送迎支援の道中では誰にも言えない気持ちを吐露していただくことが増えていきました。

おしゃべりドライブ

無料バス送迎支援では安心してお話いただけるよう心がけています

「車内なら安心して話すことができるし、外に出ることで気分転換もできて心が解放される。」
そういった利用者の声をもとに、第三者が話を聞くことで悲しみや喪失感など負の感情のケアを目的とした「おしゃべりドライブ(移送支援+余暇支援)」の運行が始まりました。

8月17日には一般社団法人クラッシュジャパンより山尾研一牧師にも同行いただき、参加された被災者の方々に寄り添っていただきました。福祉的災害支援活動について励ましと示唆に富んだコメントをいただきましたのでご紹介いたします。

おしゃべりドライブ(2回目)に参加して

熱海市土砂災害支援

コロナ禍、県外からの災害支援では専門性が求められます。

– 一般社団法人クラッシュジャパン 山尾研一牧師-

8月初旬の台風10号で、九州から西日本や北陸にかけて記録的な大雨が降り、福岡県武雄での浸水被害や広島県での土砂災害被害のニュースがまだ記憶に新しい先週8月17日、静岡県熱海市で土石流災害で自宅避難を余儀なくされている伊豆山地区の住民の方々の支援を続けているオペレーション・ブレッシング・ジャパン(以下、OBJ)の「おしゃべりドライブ」に、傾聴スタッフとして参加してきました。

今回の熱海での支援活動は、新型コロナ・ウィルス感染予防の観点もあり、一般ボランティアの対象者が静岡県東部在住・熱海市在住に限定され、県外からの支援には専門性が求められ、地元行政などのからの要請に基づいて行われるという、さまざまな制約がありました。

そういう状況下で、OBJは緊急人道支援の視点で発災後すぐに現地に入り支援活動を続けておられます。クラッシュジャパン(以下、CJ)も過去のさまざまな災害支援の現場でOBJと協働での活動の経験もあって、7月中旬から部分的に熱海支援に関らせていただいています。それはOBJが掲げる「福祉的視点で被災地域の福祉施設や生活弱者・災害によって危機的な状況に陥る生活者やコミュニティを支援する」という活動指針に賛同したからです。

おしゃべりドライブ

お一人お一人、いろいろなお話を聞かせていただきました。

7月にも何度か現地の活動に参加させていただき感じたのは、今回の熱海での支援活動が、地元の町内会の方々が主体となってなされている活動であり、現地スタッフは毎日の寄り添いの中で地域の方々と信頼関係を築き上げ、声なき声に耳を傾け、必要な支援から漏れる人が出ないようにとの目配りや細かな配慮をされているということでした。

今回の第二回目の「おしゃべりドライブ」には、被災地から4名が参加され、車2台に分乗して運転手とそれぞれに傾聴担当のスタッフ1名が同乗して行われました。今回の行先は、伊豆半島東部に位置する城ヶ島海岸で、国立公園にも指定された人気観光スポットまでの片道約1時間のドライブでした。

おしゃべりドライブ交流

自分の重荷を下ろしたり、他者への共感を示すきっかけに

私のグループは、同じマンションに住みながらも今まで交流がなかった方々で互いの自己紹介から始まり、熱海に移住した経緯や7月の発災後どのように過ごしていたかなどのお話を聞かせていただきました。

今回初参加のご婦人は、発災後約1ヶ月間は息子さん家族のところで避難生活をされておられ、最近熱海の自宅に戻って来られたばかりで、外出の機会がめっきり減っていた中での今回のミニ旅行への参加を大変喜んでおられました。

コロナ禍でさまざまな地域のイベントが中止になり、自宅にこもりがちな方々にとってこの時期は、心身ともに大変なストレスや心労が蓄積されていると思います。今回の「おしゃべりドライブ」は、そのような方々にとり、ひと時でも被災地を離れ、自分の重荷を下ろしたり、他者への共感を示すことで、その人が本来持っている回復力(レジリエンス)に気付き、高めることになるよい機会となります。

今回のOBJの熱海での働きは、生活まるごと(ソーシャルワーク)支援です。

おしゃべりドライブ伴走的支援

皆さんの心の回復が地域の回復する力(レジリエンス)となります。

その働きを発災後すぐの時から被災者の方々と苦楽を共にしながら続けておられます。いずれ外部の支援団体は被災地を撤退する時が来ます。OBJも例外ではありません。その時のために、地域の人々が持っている回復する力(レジリエンス)を引き出すための、新しい支援のかたちにもすでに着手して現場で行っているのです。

災害時に助けが必要とされる人々の中には、被災地の行政などの支援の輪からどうしてももれてしまう要援護者(在宅避難の高齢者、障がい者、病気の方や外国籍の方など)の存在があります。OBJは過去の災害の現場においてこの課題に着目し、社会福祉法人ミッションからしだねのソーシャルワークの専門家と共に「市民ソーシャルワーカー」育成プロジェクトを立ち上げ、今まさに熱海において実践されているのです。

先日の「おしゃべりドライブ」の出発前、京都からこのプロジェクトの中心メンバーの方が熱海に来て、地元の方々を対象にミニ・講習会を開催されている場に私も同席させていただきました。災害時、だれもが困っている人の助けになりたい。でもどう接すればいいのかわからない。その想いをかたちにし、地元の方々による相互の助け合いとコミュニティの回復力を高めるための市民ソーシャルワーカーが全国各地で誕生することを願っています。

私たちCJは、普段から地域のリソース(資源)としてのキリスト教系の諸団体(教会や学校、福祉施設など)がネットワークで結ばれて、顔の見える関係を築き、地域の中で災害時の協働活動が出来るようになるためお手伝いをしています。「市民ソーシャルワーカー」の育成は、災害時だけでなく、平時においても地域に貢献できる新しい働きになると大いに期待しています。

OBJの熱海支援は続きます。コロナ禍で直接現地に行けない状況下で、現地スタッフの働きのために祈り、その必要に寄付(献金)で応えることで、被災地での生活まるごと支援に関わることが出来るのです。

追記
国際赤十字でも採用されている 「あいまいな喪失理論」。
災害や事件などのあと訪れる、はっきりしない喪失感が人の心やコミュニティーを蝕んでいくことを指摘、その解決方法を提示しています。
理論の提唱者である、ポーリン・ボス博士(ミネソタ大学)は、解決にはコミュニティの回復力が必要で、専門職としてソーシャルワーカーや聖職者が関われることを教えています。今回は牧師であり、この「あいまいな喪失」を学んでこられている山尾牧師に、いざというときの対応のため同行いただきました。

熱海市伊豆山地区の支援活動は下記パートナー団体の協力により実施しています(あいうえお順)。
一般社団法人クラッシュジャパン
公益財団法人 日本YMCA同盟国際青少年センター YMCA東山荘
社会福祉法人 十字の園
社会福祉法人ミッションからしだね
一般財団法人日本国際飢餓対策機構(JIFH)
ACT japanフォーラム

生活復旧支援への資金を必要としています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。

熱海市土砂災害支援活動に寄付する

オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、社会課題の解決を組織第一の使命とし、被災地からの支援要請および支援ニーズに基づき活動する特定非営利活動法人です。45の日本の国際NGOが加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF)が作成している「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるNPO等の災害対応ガイドライン」を遵守し支援活動を行っています。

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