ソーシャルアクションプロジェクト|支えられながら、誰かの力にもなれる
社会的養護を経験した若者たちが「イキイキフェスタ」に参加しました
7月、OBJでは社会的養護を経験した若者たちと一緒に、「お菓子釣り」と「みんなで作るアート」の準備を進めました。仲間やメンターと相談し、手を動かしながら、一つのものをつくる。そして、それを誰かに楽しんでもらう。
準備から約1か月。
8月18日、仙台市・勾当台公園で開催された青空会「イキイキフェスタ」に、若者たちも参加しました。自分たちが準備してきたものを、今度は地域の人たちへ届ける日です。

準備してきた花火のアート。来場者がそれぞれの願いを書き加え、みんなで一つの作品を完成させました。
「誰かに楽しんでもらう」を実践する
公園の木々の下にテントを張り、「お菓子釣り」と「みんなで作るアート」の二つのブースを開きました。
お菓子釣りでは、子どもたちが小さな釣り竿を手にお菓子を狙います。そのそばには、様子を見守り、声をかける若者たちの姿がありました。
アートのブースでは、若者たちと来場者が一緒になって色とりどりのパーツを加え、大きな作品を完成させていきます。7月には床いっぱいに材料を広げ、みんなで準備していたものが、8月には公園で人を迎え、子どもたちを楽しませ、人と人が出会うきっかけになりました。
若者たちにとっても、準備したものを実際に社会へ持ち出し、自分の役割を持って「誰かのために動く」ところまで経験する、初めての取り組みとなりました。

若者たちが準備した『お菓子釣り』を楽しむ子どもたち。誰かに楽しんでもらうために考え、準備してきたものが、会場で笑顔につながりました。
それぞれのペースで、社会と関わってみる
当日の若者たちの姿もさまざまでした。
多くの来場者が行き交う中、自分から人に話しかけ、任された場所で役割を果たそうとする若者がいました。一方、大勢の人がいる場所や初対面の人とのコミュニケーションに緊張し、スタッフがそばを離れるとブースを離れたり、安心できる里親のもとへ戻ったりする若者もいました。
そこには、一人ひとり異なる「今」があります。
新しい場所へ踏み出すためには、人と関わる経験を少しずつ重ね、「自分にもできる」と感じられること。そして、
「失敗しても大丈夫」
「うまくできなくても受け入れてもらえる」
と思える関係があることも、大切な土台になります。
安心できる場所から少し外へ出てみる。
難しいと感じたら戻る。
そして、また挑戦してみる。
7月の記事でお伝えした「戻れる場所」と挑戦との往復が、この日の若者たちの姿にも表れていました。
「本当に嬉しい」――積み重ねが形になった日
この日は、これまで継続してボランティア活動に参加してきた3人の若者へ、ボランティア証明書を授与しました。
証明書を受け取った一人から出てきたのは、
「本当に嬉しい。ありがとうございます。」
という言葉。
そして、受け取った証明書を誇らしげに里親さんへ見せに行きました。
一枚の証明書には、これまで誰かのために時間を使い、役割を担い、活動を続けてきた経験が記されています。
「自分にもできた」
「自分のしたことが誰かの役に立った」
経験が目に見える形になること。
若者にとって自分自身の歩みを振り返り、次の一歩につながる機会にもなりました。
「また行ってみよう」と思えるつながり
当日行ったアンケートでは、ある若者が、自分自身がつらかった時期について話してくれました。
そして、若者支援の活動について、自分からこんな思いを伝えてくれました。
いろいろなことがあっても、「行ってみよう」と思える。
行けば、励まされて帰ることができる――。
普段は他の若者やスタッフのことをよく見ている彼が、この日は自分自身について言葉にしてくれました。
疲れたとき。
失敗したとき。
少し自信をなくしたとき。
「また行ってみよう」と思える人や場所がある。
そこで誰かと話し、少し力を取り戻して、また自分の生活へ帰っていく。
こうしたつながりも、若者が社会の中で自分の人生を歩き続けるための大切な社会資源です。
支える、支えられる。その間を行き来できる関係へ
今回、スタッフが印象的に感じた変化がもう一つありました。
これまで子どもとの関わりにあまり積極的ではなかった若者が、自分から声をかけたりする姿が見られるようになったのです。
この活動で若者たちが出会うのは、支援スタッフだけではありません。
他の若者、里親、スタッフの家族や子どもたち、そして地域の人たち。
さまざまな人との自然な関わりを重ねる中で、自分とは違う誰かを知り、人とつながる経験も少しずつ広がっていきます。

仙台市・勾当台公園で開催された『青空会イキイキフェスタ』。若者たちも地域の人々が集う場に参加し、それぞれのペースで人と関わる経験を重ねました。
7月に一緒に準備したものは、8月には誰かを楽しませるものになりました。
人との交流を楽しみ、自分から役割を担った若者。
安心できる人のそばとブースを行き来しながら参加した若者。
それぞれの歩み方があります。
支えてもらいながら、誰かの力にもなる。
誰かのために動きながら、自分自身も支えられる。
支える側と支えられる側を固定するのではなく、その間を行き来できる関係が地域の中にあること。
そして、
自分で選ぶ。
社会へ出る。
つまずいたら戻って相談する。
必要な人や制度につながる。
立て直し、また社会へ出ていく。
そんな循環を何度でも続けられること。
私たちは「つながり支援」を通して、社会的養護を経験した若者たちが安心して人とつながり、自分の人生を主体的に歩んでいける関係を、これからも地域の中で育てていきます。