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Action!地域防災「市民のつながり力」を強める~ぼうさいこくたい2023

9月17日、18日の2日間にわたり、横浜国立大学で行われたぼうさいこくたい2023。今年は16000人もの人たちが来場し、まだまだ厳しい暑さにも関わらず、老若男女様々な年代の人たちで賑わっていました。

ぼうさいこくたい2023

ここで私たちは屋外テントにブースをいただき、”Action!地域防災「市民のつながり力」を強める”をテーマに、「つながる力」を強めるアンケートとミニワークショップを開催。2日間で合計411名の方々にご参加いただき、たくさんの出会いとともに多くの気づきが生まれました!

私たちはこれまでの災害支援の現場で「SOSを出せない人、出さない人」が取り残されている現実を目の当たりにしてきました。そうした方々には災害支援の情報が届きにくい、復旧段階においても支援を受けることが難しく、回復に時間を要したり、時間が経つにつれて精神疾患を患ったりすることも少なくありません。そして、そうした要配慮者の方々は生活弱者であることが多く、普段はなかなか人とのつながりがなかった、というケースが多く見受けられます。

ぼうさいこくたい2023

いざという時、日ごろから一人一人がつながること、コミュニティとつながることは、的確な情報を得ることができ、スムーズな共助につながります。そして自分自身で切り抜ける自助力を支えるのもまた、人とのつながりであり、遠くにいても心でつながる人たちなのです。

私たちは今回の展示を通し、そうした災害現場の経験をお伝えするとともに、物理的備えだけではなく「心のつながり」が自助力、共助力を強め、地域防災力の向上につながるということをお伝えしてきました。アンケートやワークショップで一緒に考えた「つながるために何ができるのか」「つながりがどのように機能していくのか」をもとに、アクションの1歩を踏み出していただければと願っています。

アンケートに答えて防災備蓄品をもらおう!

ぼうさいこくたいアンケートアンケートでは、多くの人が記入しながら「気づき」を得られ、スタッフとたくさんの対話が生まれていました。
「アンケートに答えて防災備蓄品をもらおう」という呼びかけは、こうした対話を引き出すことも目的の1つです。支援物資を受け渡ししながら、防災や災害について話題が広がっていました。

ぼうさいこくたいアンケート

備蓄品を選びながら「どれがおススメですか?」「マンションでは何を備えていたらいいですか?」「こういう(防災グッズ)があるとは知らなかった」「これから色々揃えていきたいと思います」等々のコミュニケーションが生まれていました。

参加者の方と対話を深めるアンケートで浮かび上がったのは、もしもの時の頼り先が限定的な人が多かったということ。
全体の7割が、災害時頼れるのは「家族」と答え、助け合いで大きな力を発揮する「近所の人」を頼り先に挙げたのは3割以下にとどまりました。背景には、マンション住まいでそもそも自治会がなかったり、町内会に加入していないので地域とのつながりが希薄になりやすいといったケースがありました。

ぼうさいこくたい防災備蓄品ブルーボックス

OBJで実施するブルーボックス・アクション(フードボックス)クリスマス・ギビング・アクションでも、こうしたモノ・コトをきっかけに気持ちや心のつながりが生まれることを願い実施しています。これまで各地の支援活動で、心のつながりがどれほどの力になるかを目の当たりにしてきました。小さな贈り物、小さなアクションから生まれる小さなつながりは、いずれコミュニティの連帯感を育て、一人ひとりが大切にされる社会を形成する一助となります。小さなアクションは、いずれ大きな希望とコミュニティの支えとなるのです。

多くの人が「気づき」のあったアンケート

Q1)災害時、あなたは誰を頼りますか?
「言われてみると頼れる人、いないかも・・・」「私はいいけれど、離れている親にはいないかも。今度帰省したら聞いてみます」「俺は頼るより、助けるほう」「マンションに自治体がないから心配」

ぼうさいこくたいアンケート

この他、福祉関係や教会などの選択肢もありましたが、災害時の頼れる先としては限定的な印象でした。また、7人が「頼れる人がいない」と回答し、22人が「誰も頼らない」と回答しました。これは、一部の人々にとっては支えが限られていることを示しており、地域の防災支援の必要性を示しています。

Q2)あなたの周りに要配慮者の方はいますか?
「一緒に住んでる高齢の親も心配」「考えたことがなかった」「実は私自身が要配慮者です」「ペットがいても避難所は使えないよね?」

約2割の方は「どんな人がいるのか考えたことがない」「よく分からない」と回答しています。マンション住まいで自治会がない、町内会に入っていないという方も少なくありません。アンケート後には「これをきっかけに、少し気にしてみようと思います」というコメントも多くいただくことができました。

※アンケートは地域差や年齢層などによって異なる結果が出るものと思いますので、上記の結果はご参考までにご覧ください。

市民ソーシャルワーク・10分ミニワークショップを実施

ミニワークショップは30組の方々が参加、開催中20分に1組と休む間もなく実施し、担当スタッフは嬉しい悲鳴を上げていました。アンケートに答えていただいた後、「10分なら」と気軽に参加できる内容であったことがよかったようです・・・が、それ以上お話されていく方が多かったです。

ぼうさいこくたい 市民ソーシャルワーク ワークショップ

実際に熱海土石流災害の復興支援にあたるスタッフが、予期せぬ災害時における横のつながりの大切さ、また今からはじめられる「つながりアクション」についてシェアするなかで、参加者の方からも非常に多くのご意見をいただきました。

横浜市内から来られた40代の男性は「町内会で防災の取り組みを1人でやりだしたが、一緒にやる人がいなくて孤独を感じている」とのこと、今からできる小さなアクションを一緒に考えながら、こうした芽が摘まれてしまわないようつながることの必要性も実感しました。

防災関係者の方々や地域防災に関心の高い自治会長の方々は、「自分たちはいろいろやっているが、若い世代が参加してくれない。普段から地域住民に声がけしているが、なかなか行事にも参加しない。」ということから、実際に実施されている防災計画や行動についてお聞きしました。その後、市民ソーシャルワークや私たちが進めているアクションについてお話させていただき、「小さなことからできる、普段のつながりの大切さに気付けた」「(クリスマスギビングの話から)ちっちゃなプレゼントから話をつなげるってのもいいアイディアだね」「ここの(ブース)ように、一人一人と話すきっかけを作ってみようと思う」など、何かしらヒントを得られたと、「参加してよかった」と仰っていただきました。

ぼうさいこくたいワークショップ

知り合いがいるので来場した、そこまで防災に関心はないと言っていた40代女性。これまでの災害支援や現在進行形のコミュニティ支援について、要配慮者の状況などをお話する中、次第に興味を示され、市民ソーシャルワークの大切さに気付いた様子。途中、涙ぐんでいる様子も見られ、「これから人との関わり方、生き方を見直してみようと思いました」と言っていかれました。

3.11で怖い思いをしたという横浜市在住の60代のご夫婦。あの大地震で他人事じゃないと防災に関心を持ち始め、近隣の人たちとは顔の見える関係ができているが、ペットと寝たきりの母親がいるため、地震がきたらどうしようかとずっと考えているとのこと。また、普段から挨拶は心がけているが、若い世代に声をかけていいのか分からない。「このソーシャル・アクションの活動が若い世代にも伝わり関心を持ってほしいと思います、そうすれば、いざという時に助け合える力が大きくなる気がします」と言っておられました。

ぼうさいこくたいアンケート

アンケートの流れから参加したという母子。ワークショップで実際にやっている防災についてお聞きしたところ、「3.11直後は色々やっていましたが・・・時間が経つとやらなくなるものですね。今日からお風呂の水をためることから再開します!」と。それと「うちのマンションは自治会がありません。当初はしがらみがなくていいと思ってここに決めたのですが、南海トラフとか心配されている今となっては心細いのです。」とお話してくださいました。一緒に「いざという時に頼れる人リスト」を作成したところ、意外につながりがあったことに少しほっとした様子。「このつながりを大事にしながら、マンションでも声がけとか頑張ってみます。今日は参加できて本当によかったです。」と感想をいただきました。

ぼうさいこくたいワークショップ

この他、一組一組、それぞれに異なる事情があり、私たちもたくさんのことを学ばせていただきました。最も大きな私たちの「気づき」は、多くの人たちの関心が「眠っている」ということ。関心がないわけではありません。ただ、日々の生活の中でどこか他人事として後回しになっているのです。今回のアンケートやワークショップ、スタッフとの対話をきっかけに関心が呼び起こされた方も多かったと感じました。

また、地域防災に取り組んでいる方々の中には「実際、災害支援を経験したことがないので、やっている方向が正しいのかどうか自信がない」という方もおられ、「こうして災害現場の様子を聞くことができてよかった」という関係者の方も少なくありませんでした。

今回の取り組みを通して、それぞれのところで小さなアクションが起こされていくことを期待しつつ、私たちも「つながり力」を強めるための活動をさらに続けていきたいと思っています。

ぼうさいこくたい2023

暑い中、ブースまで足を運んでくださった皆様、ご参加くださった皆様、そしてこうした取り組みをいつも応援してくださっている皆様に改めて感謝申し上げます。


皆様のご参加をお待ちしています!
→ブルーボックス・アクション(フードボックス)
→クリスマス・ギビング・アクション
→ワークショップAction!
→市民ソーシャルワーカー育成プロジェクト

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