令和8年熊本地震|声が届きにくい人へ――地域のつながりをたどる支援
地震から時間がたつにつれ、地域全体の復旧は進んでいきます。その一方で、一人ひとりの暮らしに目を向けると、外からは見えにくい困りごとが残っています。
地震発生後、OBJでは被災地に入り、必要なものやすでに届いている支援、その後の変化を確認してきました。
福祉施設は、支援を必要としていても自ら声を上げることが難しい高齢者や障がいのある方、その日常を支える職員へつながる地域の大切な接点です。そこで聞いた声を現地スタッフや協力企業と共有し、調達、受け渡し、その後の確認までつなげています。
職員宅の断水
八代市坂本町の特別養護老人ホーム「坂本の里 一灯苑」では、施設のライフラインは復旧していました。一方、継続して状況を伺うなかで、職員約10名の自宅では断水が続いていることが分かりました。
八代地域には井戸水を利用している家庭も多く、今回の地震で井戸設備などが被災。修繕が必要となり、生活用水を確保できない家庭があったのです。
必要とされていたのは、合計300リットルの水。2Lの飲料水6~9本入20箱をお届けしました。
現在も数名の職員宅では、水が出ていないとのことです。
「職員一同励まされております。お届けいただいた水は大切に活用させていただきます」
との言葉が寄せられました。
自宅が被災するなかでも、高齢者の生活を支えるために勤務を続ける職員がいます。皆さまから託された水は、その一人ひとりが帰宅した後の暮らしを支えるものとなりました。

自宅で断水が続く職員の暮らしへ。合計300リットルの水を、お届けしました。
食事と介護に必要なものを
宇城市のサービス付き高齢者向け住宅「フォーシーズン」で不足していたのは、肉や魚、野菜などのおかずになる食品と、介護用の紙パンツでした。
皆さまからのご寄付により、保存しやすく、必要なときに食卓へ出せる肉や魚の缶詰を用意しています。
介護用品については、セコムフォート多摩株式会社様から「必要としているところへ届けたい」とのお申し出があり、紙パンツや尿取りパッドなどもお届けすることができました。
皆さまから託されたご寄付と企業からの提供物資が、それぞれ現場の必要と結びつき、利用者の食事と日々のケアを支えています。

介護用紙紙パンツや尿取りパッドなど(セコムフォート多摩株式会社様より)

毎日の食事を支える缶詰など
すでにある支援を確かめ、足りない食料を
八千代市にある特別養護老人ホーム「早尾園」では、約20名の職員に不足していた食料を準備。丼の具やカレー、カップ麺など、保存ができ、勤務の合間や帰宅後にも手早く食べられる食品をお届けしました。
早尾園からは、地域の様子とともに、次のメッセージをいただいています。
「まちの中の景色が一変してしまいましたが、少しずつではありますが日常も取り戻しつつあります」
「いただきました物資を活用し、ご利用者の生活を守るとともに、職員一丸となって乗り越えて参る所存です」
施設を支える職員の食事や暮らしが守られることは、その先にいる利用者が安心して過ごせる日常にもつながります。

被災の影響が残るなかで高齢者の生活を支える職員へ、保存しやすく手軽に食べられる食品を届けました。
一度届けて終わらず、その後の暮らしまで
災害直後に見えていた必要は、復旧とともに変化します。施設の水道が戻った後に職員宅の断水が分かることもあれば、物資が届き始めた後に、まだ不足しているものが見えてくることもあります。
施設へ物資が到着することが、支援の終わりではありません。その物資が誰の暮らしに届き、何を支えたのか。その後、新たな困りごとが生じていないか。つながりを保ちながら、変化する状況を追っていきます。
皆さまから託されたご寄付が、水や食料となって被災した職員の暮らしを支え、その力が利用者の安心できる日常へとつながっています。
熊本地震支援へ温かいご寄付をお寄せくださった皆さま、そして必要な介護用品をご提供くださったセコムフォート多摩株式会社様に、心より感謝申し上げます。