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【熱海市土砂災害】地域のレジリエンスを引き出す (福祉的災害支援)

土石流の発生から約1か月半が過ぎ、立ち入り禁止の地区では未だ捜索活動が続く一方、ここ仲道地区では少しずつ生活復旧の局面が動いてきています。

私たちはこの災害で傷ついた地域のレジリエンス(=災害を乗り越える力、自発的治癒力、回復力)を引き出すため福祉的災害支援を実践、地域の伴走者となって支援を続けています。

熱海市土砂災害 市民ソーシャルワーク

中心はあくまでも被災地域住民の皆さん。
支援者が被災地域に何を残していけるのか
例えば、
事業を継承していけるようにしていくこと
スキルやコンセプトを伝え残していくこと
それらももちろん大切ですが
地域のレジリエンスを引き出すこと、これにつきると実感しています。

熱海市土砂災害 災害レジリエンス

悲しいことですが、災害は人と人の間の「溝」を大きく、深く、拡げてしまいます。
だからこそ人と人との連帯感をもう一回紡いでいかなければなりません。

それは「復興」や「復旧」や「目標」や「ビジョン」ではなく、十分に「悼み」「悲しみ」「嘆く」中からしか生み出せないのではないかと考えています。

熱海市土石流災害

私たち「外部」の災害支援団体ができることは、私達の活動を通して、人と人とがつながっていくことの素晴らしさを再認識してもらうことです。
被災地域の人同士もそう、また被災地域の人と外部の人もそう。
コロナ禍は、災害支援する人の思いすら自粛ムードに変えてしまう恐ろしさがあります。
しかしコロナ禍だからこそ残していきたいのです、人と人のつながりのすばらしさを。

熱海市土砂災害支援 おしゃべりドライブ

参加者のお母さんたちが、みんなのお弁当を手作りし、みんなに差し出します。
また誰かが、誰かの飲み物を買ってくる、そんな心遣いの中にこそ、生きている実感が生まれてくる。

私たちが熱海市伊豆山地区で実施している無料の移送支援と余暇支援「おしゃべりドライブ」
そこにはただ支援を受けるとるだけではなく、そこにはコミュニケーションや感情の行き交いがあります

「高齢者になると、そんなささやかな楽しみが失われていきます。でも、ここでは支援されている人が自分でみんなのお弁当を作っている!驚きました。」
と、同行いただいた精神保健福祉士の武山さん。

『これが喜ばれるだろうか、あの人はこれが好きだろうか』そういう他者を意識した交流が、生きる実感につながるということでした。

以下、福祉的災害支援の協働団体である社会福祉法人ミッションからしだねより、福祉専門職の視点からコメントをいただきました。

希望の種(日常の暮らしのかけら)を蒔くということ

城ヶ島海岸

移送支援・余暇支援「おしゃべりドライブ」

– 社会福祉法人ミッションからしだね 坂岡恵様(精神保健福祉士・社会保険福祉士)-

災害は、物が壊れるとか、物を失うこと以上に、人のこころに大きくゆさぶりをかけるものだと思いました。

お互いに被災したもの同士の連帯感、労わり、助け合いの気持ちを味わうプロセスを経て、少しずつ落ち着きを取り戻すなかで、周囲と自分の置かれている状況の違いにとまどい、妬みや孤立感、怒り、溝が生じてくる、そういうものだと聞きました。

このたびの熱海では、グリーフケアの讃井さんもおっしゃっているように、支援チームの地道な活動によって町内会との信頼関係ができていることが何よりすごいし、それは設備が整えられるとか、物資がたくさん届けられるとかいう目に見える物以上のものを、住民の方々にもたらしていると思いました。

熱海市土砂災害 絵本の宅配便

在宅避難の子ども達へ「絵本の宅配便」

これらの活動は、
安らぎの空間を作り、
子どもたちを子どもたちらしく遊ばせ、
その姿に触れた大人たちに生きる活力や笑顔を取り戻させ、
会話や一緒にごはんを食べる機会をもたらし、
日常の暮らしのための足になるという、
本当に地道でさりげない、けれどもものすごい熱意と根気と勇気と想像力、そして、強いこころと体が必要な活動です。
私は、そこにこそ、災害支援のプロの姿を見出します。

住民の方たちは、そのようなさりげない支援活動の中で、災害前の平凡な日常を思い出し、
「ああ、そうだ。本来、私はこんなふうに暮らしていたんだ。そして、いつかまたそこに戻る日がくるんだ」
という「希望」の「種」を見出しておられるのではないでしょうか。

外部から入る支援者にできることは、被災者お一人おひとりに、それぞれの「日常の暮らし」があったことを思い出していただき、その「日常」を取り戻していくための「希望の種(日常の暮らしのかけら)」を、お一人お一人のこころに蒔いていくことではないか、と思いました。

すべてを整えてあげることではなく、
「あのころのすべてを取り戻すことはできないけれど、また新しい平凡な日常の暮らしに戻っていくことはできる」
という希望の種。

「日常の暮らし」には喜びも悲しみも混在しています。
喜びも悲しみも、そして新しく加わった災害による悲しみもひっくるめて
人が人として生きていく場「日常の暮らし」を取り戻すためのスタート地点(分岐点?)に立ち会い、
そのお手伝いをし、寄り添い、ちょっとだけ背中を押してあげる
そんな活動こそ、外から入った支援者の役割のような気がしてなりません。

熱海市伊豆山地区の支援活動は下記パートナー団体の協力により実施しています(あいうえお順)。
一般社団法人クラッシュジャパン
公益財団法人 日本YMCA同盟国際青少年センター YMCA東山荘
社会福祉法人ミッションからしだね
日本国際飢餓対策機構(JIFH)
ACT japanフォーラム

生活復旧支援への資金を必要としています。皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。

ホテル避難から少しずつ帰宅が始まり、留守の間、真夏の暑さと湿気により家中がカビだらけという状況が少なくありません。個人宅や施設などで必要な物資支援のため、また対人支援に必要な専門家招へいのため、皆さまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

熱海市土砂災害支援活動に寄付する

オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、社会課題の解決を組織第一の使命とし、被災地からの支援要請および支援ニーズに基づき活動する特定非営利活動法人です。45の日本の国際NGOが加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF)が作成している「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるNPO等の災害対応ガイドライン」を遵守し支援活動を行っています。

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