児童奴隷だった少女
「ブローカー」は両親に、タイで働けば高い給料をもらえるからと言って少女を連れて行きました。けれども実際には、少女は毎朝4時に起こされ、食肉工場で真夜中まで働かされていました。休日はなく、十分な食事も与えられず、給料も支払われませんでした。
彼女は奴隷だったのです。
貧困にあえぐ親たちがブローカーから海外の仕事の話を持ちかけられると、子供の将来にとって、このまま家族のもとで暮らすより外国に行った方が良いと信じ込んでしまいます。
「多くの親は、我が子が児童奴隷になっているとは夢にも思わず、タイで良い暮らしをしていると信じています」と、オペレーション・ブレッシング・インターナショナル(OBI)のディビッド・ダーグ国際部長は言います。「彼らは、我が子が家に帰ってきてから、それがどんなに危険な状況であったかを悟るのです」。
それも、子供が無事に家に戻ってこられれば、の話です。幸いグウェン*は家に帰ることができました。それを可能にしたのが、OBIの戦略的パートナーであるエイジャン・トライバル・ミニストリー(ATM)**でした。ATMはタイ当局と協力して児童奴隷を救出し、帰宅させる活動をしています。
14歳のグウェンは今、ミャンマーの実家で元気に暮らしています。生まれて初めて学校にも通っています。
OBIは一家がきれいな水を飲めるよう浄水器を贈り、収入源となる家畜もプレゼントしました。2頭の豚と2頭の山羊です。両親はこれで、グウェンとその兄弟を養い育てることができます。
「工場での奴隷状態の恐怖から救い出されたグウェンは、希望に満ちた未来に目を向けています」とダーグは言います。「ATMとOBIは一家に新しい希望をもたらし、同じように貧困にあえぐミャンマーの家族の暮らしを大きく変えようとしています」。
* プライバシー保護のため名前は変えてあります。
** エイジャン・トライバル・ミニストリー(Asian Tribal Ministries:ATM)は、タイとミャンマーで活動する団体で、少数民族の若者の教育や生活を支援しています。