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ソーシャルアクションプロジェクト|安心して戻れる場所から、誰かを迎える場所へ

やすらぎ水曜カフェが育てる、支え合いの循環

静岡県焼津市にある焼津グレイスチャペルでは、月に2回、「やすらぎ水曜カフェ」を開催しています。

主な対象は、0歳から6歳までの子どもを育てる家庭です。

教会で炊いたご飯を親子で囲み、子どもたちは遊び、保護者はコーヒーを飲みながら話をします。出入りは自由。子どもが泣いたり、途中で帰ったりしても構いません。

ボランティアが子どもを見守ることで、保護者が一息つき、ほかの大人と話したり、必要な手続きを進めたりできる時間も生まれています。

一見すると、親子が食事や交流を楽しむ小さなカフェかもしれません。しかし、ここで育てようとしているのは、一時的に楽しく過ごせる場所だけではありません。

孤立しやすい子育て家庭が安心して戻ることができ、そこで受け取った安心や経験を、やがて次の誰かへ手渡していく。そんな支え合いの循環を、地域の中につくろうとしています。

ソーシャル・アクション・プロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

地域の親子を迎える、焼津グレイスチャペルの開かれた扉

子育て世帯の約4人に1人が感じる「孤立」

子育て中の孤立は、外からは見えにくいものです。

一日中、幼い子どもと家の中で過ごしている。困っていても、相談できる人が近くにいない。家族以外の大人と話す機会がほとんどない。周囲に迷惑をかけないよう、一人で頑張り続けている――。そのような家庭が、地域の中に存在しています。

こども家庭庁が妊婦および0~5歳児の保護者7,316人を対象に実施した全国調査では、約6割が子育ての負担感を、約4人に1人が孤立感を「感じる」「まあまあ感じる」と回答しました。孤立感は特に妊婦と0歳児の保護者で高く、子育てが始まる前後の時期に、つながりが途切れやすい実態がうかがえます。

また、乳幼児の保護者の14.7%が「家事・育児の協力者がいない」、13.7%が「ほかの保護者や子育て経験者との交流の場が身近にない」、9.1%が「子育てについての相談相手が身近にいない」と回答しています。

相談先や支援制度があっても、困りごとを言葉にし、自分からつながることが難しい場合もあります。だからこそ、深刻な状況になってから相談する場所だけでなく、普段から顔を合わせ、安心して関係を築ける場が必要です。

出典:こども家庭庁「妊婦や乳幼児とその保護者を取り巻く生活実態調査」2025年3月

災害が起こる前から、支え合える地域を

やすらぎ水曜カフェは、OBJが取り組む「ソーシャル・アクション・プロジェクト」の一つです。

このプロジェクトでは、それぞれの地域にある社会課題に気づき、自ら行動を起こす地域のリーダーやパートナーを支えています。

地域の課題は、全国どこでも同じではありません。子育て家庭の孤立、若者が頼れる人の少なさ、生活困窮、外国にルーツを持つ人が抱える言葉や制度の壁など、その地域によって異なります。だからこそ、日頃から住民と関わり、地域の小さな変化に気づける人の存在が重要です。

地域の中で一歩を踏み出す人を支え、その周りに協力する人を増やし、思いやりと支え合いの輪を広げていく - 平時から顔の見える関係があれば、困ったときに「助けて」と言いやすくなります。そして、災害などによって暮らしが大きく揺らいだときにも、孤立する人に気づき、声をかけ、必要な支援へつなぐことができます。

地域のつながりを育てるソーシャルアクションは、OBJにとって「災害が起こる前から始める支援」でもあるのです。

安心して戻れる場所を、地域の中に

やすらぎ水曜カフェでは、初めて参加した日に悩みを話すことを求めません。食事をして、子どもを遊ばせ、同じ地域で子育てをしている人たちと一緒に過ごすだけでも構いません。

話したくない日は、話さなくても大丈夫です。それでも、同じ場所で食卓を囲み、子どもの成長を一緒に見守る時間を重ねていきます。

困ったときには戻って相談できる。少し休み、気持ちを整理できる。必要であれば、ほかの人や支援につながり、再び自分の生活へ戻っていく。

やすらぎ水曜カフェが目指しているのは、その往復を支えられる関係を地域の中につくることです。

ソーシャル・アクション・プロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

大きなテーブルを囲み、親子で昼食を楽しむひととき

「助けて」と言えることも、子育ての力

子育てでは、「自分がしっかりしなければならない」「人に迷惑をかけてはいけない」と考え、一人で抱え込んでしまうことがあります。けれども、親として自立することは、すべてを一人でできるようになることではありません。何を自分で担い、何を誰かに相談し、どのような助けを借りるのかを判断できることも、大切な力です。

やすらぎ水曜カフェに参加した、1歳未満の双子を育てる外国籍のお母さんも、その一人でした。

子育てを手伝うために来日していた妹が帰国し、ほぼ一人で育児を担う中で、「トイレにもゆっくり行けない」「食事を作る時間がない」と話していました。

ある日、そのお母さんは、締め切りが迫った保育園の申請書類をカフェへ持参しました。スタッフや参加者が双子を見守る間に書類を記入し、日本語の内容についてもサポートを受けることができました。

帰るときには、「家では書く時間がないので助かりました」と、ほっとした表情を見せてくれました。食事を作る余裕がないことも分かったため、その日に残ったお惣菜を持ち帰ってもらいました。

ソーシャルアクションプロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

子どもたちの目線に寄り添い、成長を見守る牧師

子どもを見守り、温かい食事を用意し、話を聴く。一人で抱えていた手続きを一緒に進める。こうした関わりによって、保護者が立ち止まり、安心して息をつける余白が生まれます。

その余白が、誰かに助けを求めたり、次の一歩を考えたりする力につながっていきます。

15世帯との関わりから生まれた変化

やすらぎ水曜カフェは、2025年8月に始まりました。2026年3月までに15世帯、35人の親子が参加し、延べ参加人数は110人となりました。15世帯のうち9世帯が2回以上参加し、6世帯は3回以上、4世帯は5回以上訪れています。

アンケートに回答した7人全員が「安心できる居場所」と感じ、5人が「気持ちが軽くなった」「前向きになれた」と回答しました。また、心理的な支援や行政手続き、食事支援、教会や地域とのつながりなど、8件の具体的な支援へ結びついています。

しかし、こうした支援は、参加者が初めて訪れた日に突然始まるものではありません。

一緒に食事をし、子どもたちが遊ぶ姿を見守り、近況を聞く。何度か顔を合わせて名前を覚え、しばらく来られない時期があっても、また戻れるようにする。

一見すると「何も起きていない時間」を重ねることが、困ったときに相談できる関係の土台になります。

ソーシャルアクションプロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

子どもを遊ばせながら、親子でゆったりと過ごせる教会内のスペース

支えられる人から、一緒に場をつくる人へ

この活動では、参加者をずっと「支援される側」に固定するのではなく、一人ひとりができる形で場に関わることも大切にしています。2025年11月には、参加者がOBJ「クリスマスギビング」の準備に加わりました。自分たちが楽しく過ごすだけではなく、誰かにプレゼントを届ける活動に参加する姿が見られました。

さらに、春のカフェでは、新しい親子2組が参加し、前回Instagramを見て訪れた親子2組も再び足を運びました。そのうちの1組は、近隣に住む親子を自分から誘い、新たな参加につなげてくれました。また、終了後も、参加者同士の交流が自然に続いています。

知り合いの親子を誘う。できる範囲で準備や片づけに加わる。自分の子育て経験を、ほかの保護者と分かち合う。そうした小さな関わりの積み重ねによって境界を越え、ともに場をつくる関係が育ち始めています。

ソーシャルアクションプロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

誰かに喜びを届ける「クリスマスギビング」のパッキング準備

教会も、地域を支える存在へ

変化しているのは、参加者だけではありません。

活動開始当初はOBJが中心となって運営していましたが、開催を重ねる中で、教会のメンバーが食事の準備や子どもの見守り、参加者への声かけ、会場運営などを担うようになりました。

場所を提供するだけでなく、地域の子育て家庭に気づき、寄り添い、自分たちで活動を続けていく。これは、ソーシャル・アクション・プロジェクトが目指してきた変化の一つです。

地域に根ざした人たちが、それぞれにできる形で自分たちの地域を支える。そのための人と関係が、やすらぎ水曜カフェを通して少しずつ育っています。

安心を、次の誰かへ手渡していくために

やすらぎ水曜カフェは、現在も月2回開催しています。普段は1回につき親子約4組、8~10人が集まります。

皆様からのご寄付によって支えられるのは、一回の食事や一日の催しだけではありません。

一緒に食卓を囲み、子どもの成長を見守り、何気ない会話を重ねる。しばらく来られない人にも、また戻れる道を残す。困ったときには話を聴き、必要な人や制度へつなぐ。そして、安心を受け取った人が、次に訪れる誰かを迎えられる環境をつくる。

こうした日々の関係づくりが、孤立が深まる前に支え合える地域の土台になります。そして、災害などによって暮らしが大きく揺らいだときにも、互いに気づき、声をかけ、必要な支援につながる力となります。

ソーシャルアクションプロジェクト 水曜やすらぎカフェ 焼津グレイスチャペル

輪になって言葉を交わす保護者とスタッフ。何気ない会話から関係が育ちます

やすらぎ水曜カフェで生まれている変化は、地域で一歩を踏み出す人を支えることから始まりました。

地域の課題に向き合う人を支え、その周りに協力する人を増やし、思いやりと支え合いの輪を広げていく。OBJはソーシャルアクションプロジェクトを通して、いざというときにも助け合える地域のつながりを育てています。

この取り組みを各地で続け、広げていくために、皆様のご支援をお願いいたします。


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