台風被災者に住宅をプレゼント
台風30号により大きな被害を受けたフィリピンのバランガイ・パグナミタンに住むミルナ・レンドンさん(42歳)は、ほかの住人と同じように絶望し、どのようにして生活の再建に取りかかればよいかもわからず途方に暮れていました。台風による高潮が村に押し寄せたとき、家には彼女と長女のニコール・ジェームズ(14歳)、ジェニー・グレイス(6歳)の3人しかいませんでした。夫のシャーウィンはクウェートで電気技師として働いていて、もう3年も帰国していないのです。
台風の被害を受けるまで、ミルナは輸出向けの貝殻細工のアクセサリーを作る仕事をしていました。この仕事の1カ月の稼ぎは700ペソ(約1600円。ちなみにマニラ首都圏の最低賃金は日給466ペソ)にしかなりませんが、家計の足しにはなりました。14年前に結婚したときに始めた小さな養豚場も、生活費の支払いや子供たちを学校に通わせる助けになっていました。
これだけがんばっても、一家の生活は楽ではありませんでした。被災した今は、生活はさらに厳しくなっています。
「日用品の価格が高騰し、子供たちを学校に通わせるにもお金がかかるのです」と彼女は言います。
ビサヤ諸島を襲った台風が去ったときにミルナが最初に考えたのは、どうすれば家を再建できるだろうかということでした。
台風は、子供たちの心も深く傷つけました。雲行きが怪しくなり、雨がぽつぽつ降りはじめると、怖くて学校に行けなくなってしまうのです。
ミルナは夫に相談するため国際電話をかけました。彼は家族のために飛んで帰りたい気持ちでいっぱいでしたが、契約の関係で、まだしばらくは帰国することができません。話し合っても問題解決のめどはたたず、自分たちを助けてくれる人が現れることを2人で祈るしかありませんでした。
彼らの願いは叶いました。
オペレーション・ブレッシングは、現在、ピノイ・リリーフ*と提携して住宅寄贈プロジェクトを進めていますが、ミルナがその最初の受益者に決まったのです。1軒目の住宅が完成すると、早速、彼女たちに引き渡されました。
「オペレーション・ブレッシングの住宅を私が最初にいただけたのは、まさに奇跡です」と言うミルナの目には涙が浮かんでいます。
一家がもともと住んでいた家の広さは15m2しかなく、きちんとした浴室もありませんでしたが、新しい家の広さは23m2あり、本物の浴室がついていて、居住スペースも広くなりました。オペレーション・ブレッシングが建設中のほかの12軒の住宅も完成に近づいていて、引き渡しの日を待っています。
ミルナは今、とても幸せです。
「オペレーション・ブレッシングが建ててくれた家は頑丈で、とても使いやすいです。子供たちは安心して、よく眠れるようになりました」。
*ピノイ・リリーフは民間の財団で、ほかのNGOに資金や補助金を提供しています。