【能登半島地震・大雨支援】臨床美術を通じて心を癒す: 角啓子さんの挑戦
臨床美術とは、絵やオブジェを作成することによって、脳を活性化させ、認知症の症状を改善させたり、高齢者の介護予防、働く人たちのストレス緩和、子供の感性の育成などに役立つ芸術療法の一つです。
臨床美術士である角啓子さんは、ご自身の活動を通して、どんな人でもアートに触れることで心を解き放つことができることを学びました。彼女は最初YouTubeの動画で臨床美術のことを知り、通信と対面で臨床美術を学べる学校に行きました。そこでフルイエミコさんという臨床美術士であり、一般社団法人ART Alongがコーディネートしている被災地支援の講座で活動している方と出会い、本格的に臨床美術を学び始めました。

臨床美術士の角さん
臨床美術の活動は、災害被災者にとっても大きな意味を持ちます。角さん自身も能登の地震後に、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)の被災者支援のセミナーに参加したことで「自分でも臨床美術を活かして役に立てることがある」と強く感じたそうです。そして心の癒しを提供する臨床美術の活動が、能登の被災者に少しでも寄り添い、支えになればという想いから、彼女は今後も活動を続けていく決意を新たにしています。
臨床美術は、作品を作る人の技術や上手さは問いません。それよりも五感を刺激し、右脳を使って、その人なりに自由に表現することを大事にします。そのため、作品を作るたびに「上手くできないから苦手」とか「恥ずかしい」という感情は少しずつ消えていき、楽しさを感じるようになるのだと角さんは言います。

臨床美術について説明をしている角さん
角さんは10月12~14日に仙台で開催されたクリスチャン・アートフェスティバル(OBJ&OM日本共催)に招かれ、彼女の作品を来場者に紹介しました。作品を見た方は「こういうアートがあることを初めて知りました。」「臨床美術は、その人の心の中にあるものが出てくるんですね。」と話されていました。
石川県能美郡に在住の角さんは、能登のこども園や公民館で開催される臨床美術のワークショップでサブスタッフとして働かれています。臨床美術は誰でも参加でき、特別な準備は不要なので、その気軽さから能登でも少しずつ広がり始めています。
今回仙台のアートフェスティバルでの出展にあたって作品に添えられたお手紙には、次のように書かれていました。「能登半島地震から9カ月が経ちました。あまりにも多くのものを奪い、深い悲しみの中からの日々でありました。これからも続けられます復興への道のりには、見えるもの見えないものがありますが、この試練が主の栄光の現れる機会となりますように。希望のメッセージを他の人たちと共有し続けたい。そして、予測できないことがあることを、それは他の人のことではなく、いつ、どこで、誰が受ける側になるかもしれない。そのことを伝えてきいたい。主がすべてをよきものにして下さいますので、安心して歩めます。」
角さんは、臨床美術の小さな活動の輪が広がり、さらに多くの人々が心の解放を感じることを願っています。彼女はこれからも臨床美術で培ったスキルや経験をもとに、被災された方々への癒しの輪を広げていかれることと思います。