漁船建造プロジェクトで被災地に雇用創出
フィリピンのサマル州バセイのバランガイ・サンフェルナンドに住むマックス・サルバドール・プラドさんは、今、フィリピンの伝統的な小型船「バンカボート」を製作しています。彼は、ボートの手すりをノミで削ったり、完成したボートのモーターエンジンの調整やテストを行ったりして、毎日、忙しく働いています。
実は、マックスさんの本業は船大工ではなく漁師です。彼の運命を変えたのは、去年、フィリピンに大きな被害をもたらした台風30号でした。この嵐で彼の自宅は全壊し(彼の言葉を借りると「郵便受けも残らなかった」そうです)、生計の手段である漁船も流されてしまいました。
被災前、彼の収入はよく、5人の子供を全員学校に通わせることができました。長女のメイベルはタクロバンの大学の1年生、次女のメイベリンダはハイスクールの4年生、長男のマービンは3年生、マーク・ビンセントは小学校の6年生、9歳のマリビクは3年生でした。けれども、台風で漁船を失ったマックスさんが、これまでと同じだけ稼げる仕事を見つけることはできませんでした。
彼はどんな仕事でも一生懸命しましたが、一家が食べていくのがやっとで、子供たちは学校に通えなくなってしまいました。メイベルとメイベリンダは学校を休学して仕事を探しにマニラに出て、2人ともレストランのウェイトレスになりました。大切な家族のため、彼らは一生懸命働きました。
事態が好転することを信じて、忍耐強く努力した人には良いことが起こるものです。まもなく、バランガイ・サンフェルナンドでオペレーション・ブレッシングのバンカボート製作プロジェクトが始まり、現地の船大工を募集したのです。実は、マックスさんは、父親のプルディトさんからバンカボートの製作技術を学んでいました。彼は父親と一緒にプロジェクトに応募し、見事に採用されました。
マックスさんは、船大工として稼いだ賃金で、子供たちを再び学校に通わせることができました。次女のメイベリンダさんも、ハイスクールを卒業するため、マニラからバセイに戻ってきて再び勉強をはじめました。