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災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え”|OBJが考える家庭防災

「もし」が「まさか」に。
災害によって日常が奪われたとき、
家族と自分を守るためにできること

『緊急地震速報、強い揺れに備えてください』
スマホやテレビから突然流れる大きな警報音。最近、東北では大きな地震が多く、このような警報音を聞く機会も増えています。強い揺れによって電気やガス・水道などのライフラインや公共の交通機関に影響が出ると、急に日常と切り離される感覚になります。

「子どもはどこにいる?」
「水が出ない」
「早く帰らなければ」
「携帯がつながらない」
「ガソリンがない」

と、急に頭の中が忙しく動き始めます。

今回は、15年前の東日本大震災を経験した、OBJスタッフ山野の体験談をもとに、災害時の家庭の備えについて一緒に考えます。

災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え


災害時、本当に困るのは
先の見えない不便な生活。

「災害=倒壊」だけでなく「生活機能の停止」がまず、私たちに大きな影響を及ぼします。

“私は震災当時、仙台市内にいて津波などの大きな被害はなかったものの、ライフラインが止まり、「普段通りの生活」ができなくなる大変さを経験しました。
復旧には、電気が3日、ガスが3週間、水は1ヶ月。当時、0歳児、未就園児、小学1年生の3人の子どもを抱え、ミルクづくりや哺乳瓶の消毒、トイレ、洗濯やお風呂――。水のない生活は想像以上に厳しく、衛生面や調理には相当気をつかいました。

マンションではエレベーターが止まり、給水所から何度も階段を使って重い水を運ばなければならず、3階以上の人たちは特に苦慮していました。

金融機関やATMが使えず買い物は現金のみ。被害の少なかった地域でさえ、スーパーでの買い物は1人2点までと制限があり、当たり前にできていた買い物が、急に“特別なこと”になってしまったのです。”

災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え


災害がもたらす苦しみは
平等ではない

災害は誰にでも起こりえますが、受ける苦しみは平等ではありません。家庭環境や当人の生活の状況によって、苦しみが長く続く場合もあります。災害時の困りごとの多くは「日常」の延長にあるものの、先の見えない不便な期間がいつまで続くのか、誰にもわからないのです。不安や緊張が続く中、モノだけでは満たされない感情があることに気づきます。

“介護が必要な人やペットがいる人、障がいがある人とその家族は、避難所での生活が難しい状況にありました。水や電気の不足は、介護用品の使用や看護にも重大な支障をきたしました。

ひとり親家庭の娘の友達は、母親が県外出張だったため、避難所になっていた体育館に迎えに来れたのは21時過ぎでした。手を差し伸べたくても、引き取りは保護者でなくてはできません。その子はどれだけ心細かったことか、今でも忘れられません。”

災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え

また、被害の大きさやライフラインの復旧状況によって、生活再建のスピードにも差が生まれていきます。

家を失った人。
先に日常へ戻れる人。
仕事を失った人。

「自分より大変な人がいる」と思うことで、苦しさを言葉にできず、孤立してしまう人も少なくありません。


モノや備蓄だけでは
満たされない
「心の備え」とは?

災害時に見落とされがちな「心の備え」。水や食料、非常袋などの備えはもちろん大切です。しかし、長引く不安や緊張の中では、モノだけでは支えきれない心の疲れが少しずつ積み重なっていきます。
起こりうる非常時に、家族や自分を守るためには、心の平穏や安定を意識し実践することも大切な備えのひとつです。声を掛け合うこと、話を聞いてもらうこと、コミュニケーションを図ることで相互に安心感が生まれます。

“震災当時、余震に気を配りながら、日々をなんとか維持する毎日でした。

家の中は散乱し、先の見えない不安の中で過ごしていましたが、教会という安心できる場所があったことで、笑顔を保ち、家族や周囲の人たちと励まし合いながら、一日一日を乗り越えていたように思います。その時にかけられた温かい言葉やじっくりと話を聞いてもらった経験が、希望となることも知りました。

ライフラインが復旧し始めると、今度は回復や復旧の足並みがそろっていないことに気づきます。
他の人との環境の違いに心を痛めたり、遠慮して嬉しいことを喜べなかったり。いつの間にか近くに感じていた人との間に溝が生まれることがあります。心に蓋をするようになり、笑顔が消えてしまう――。そのように心が悲鳴をあげている人が少しずつ増えていきます。

だからこそ、不安を共有できる場所や、安心して話せる相手の存在が大切なのだと感じています。
私自身も、教会で不安や情報を共有し、子どもたちを安心して遊ばせられる場所があったことで、ずいぶん心が支えられました。”

いざという時のために必要なのは、モノの備えだけではなく、「ひとりにならないこと」なのかもしれません。

災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え


備蓄よりも
非常袋よりも
大切な「つながり」

家庭でできる防災とは、非常袋を作ることだけではありません。

水や食料、携帯トイレ、常備薬などを備えておくことは、災害時に家族の命と生活を守るために欠かせない備えです。実際に被災した時、「準備していて助かった」と感じる場面は何度もありました。
その一方で、どれだけ備蓄があっても、不安や孤独までは埋められません。
家族を守ること。心を守ること。孤立しないこと。そして「助けて」と言える関係をつくっておくことも、同じように大切な備えなのだと、私たちは被災地で何度も感じてきました。

東日本大震災を経験し、各地の支援現場に関わってきた私たちOBJが見てきたのは、
「備えの差」だけではなく「つながりの差」です。

近所に連絡先を知っている人はいますか?
あなたが「助けて」と言える人は何人いるでしょうか?

非常時を生き抜くために、今いちどモノの備えとともに、人とのつながりについても考えてみませんか。

災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え
災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え
災害支援の現場で見えた“本当に必要な備え

防災について、一緒に考えてみませんか

防災に完璧な備えはありません。
だからこそ、非常袋や備蓄だけでなく、家族や地域とのつながりについても、日頃から考えておくことが大切です。

OBJでは6月24日(水)19時より、家庭防災をテーマとしたオンライン防災ワークショップを開催します。
被災経験や支援現場での学びをもとに、「わが家の備え」について一緒に考えてみませんか。

▶ ワークショップ詳細はこちら
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