令和8年熊本地震|物資に続き必要とされた「看護の力」――八祥苑で続く支援
熊本県氷川町の介護老人保健施設 八祥苑では、熊本地震後、福祉避難所として被災した高齢者を受け入れています。本来75床の施設で過ごしているのは、定員を10名上回る85名。これまで皆さまからのご支援によって、食料や飲料、車椅子などを届けてきました。
しかし、受け入れが長期化するなかで必要とされたのは、物資だけではありませんでした。緊急入所した方が増える一方、施設職員のなかにも、自宅が全壊した方や仮住まいを続けている方がいます。自身も被災しながら利用者の生活を守り続ける現場では、看護を担う人の手が不足していました。
一人ひとりに向き合う5日間
施設からの相談を受け、OBJスタッフのつながりを通じて、支援に協力できる看護師を募りました。
最初に現地へ入ったのは、看護師の関さんです。9月のシルバーウィークに合わせ、八祥苑で5日間にわたって利用者のケアに携わりました。慣れない場所での活動に加え、施設では通常より多くの方を受け入れています。限られた時間のなかでも、関さんは目の前の利用者一人ひとりと向き合い、言葉を交わしながら丁寧にケアを続けました。

利用者一人ひとりと言葉を交わしながら、丁寧にケアを行う看護師の関さん。
施設担当者からは、
「お一人お一人に丁寧に対応してくださって驚きました。本当にとても助かりました」
と、繰り返し感謝の言葉が寄せられています。
看護の支援は、医療的な処置を補うだけではありません。利用者の小さな変化に目を配り、声に耳を傾ける人が増えることで、被災後の不安を抱える方が安心して過ごせる時間にもつながります。
被災から2か月を経ても続く、看護の必要
10月5日には、看護師の関口さんが八祥苑へ入り、現地での活動を始めました。午前7時から午後4時まで、採血、血糖測定、点眼、経管栄養などを担当し、受け入れ人数が増えた施設の看護業務を支えています。
現地へ向かう途中、関口さんが目にしたのは、ブルーシートに覆われた家屋や、損傷の残る道路、被害を受けた建物でした。地震発生から2か月以上がたっても、地域には被災の痕跡が残っています。

施設内に用意された段ボールベッド。被災地に滞在しながら、利用者のケアに携わりました。
施設の建物にもひびやゆがみがあり、職員のなかには自宅を失った方や仮住まいを続ける方もいます。それでも毎日、高齢者の食事や健康、生活を守る仕事は続きます。
外部から看護師が加わることは、目の前の業務を分担するだけでなく、被災しながら働き続ける職員が少しでも余裕を取り戻し、利用者に向き合うための支えにもなります。
届けた後に聞こえてきた、新たな必要
施設とのつながりは、食料や飲料、車椅子を届けたところで終わりませんでした。物資が届いた後も施設の状況を伺うなかで、受け入れの長期化と看護現場の負担が見えてきました。その声を受け、協力できる看護師を探し、人と人とのつながりをたどって今回の活動へ結びついています。

被災した高齢者を受け入れ、地震後の生活とケアを支え続けている八祥苑。
災害後に必要な支援は、時間とともに変わります。
食料や水が不足する時期を経て、避難生活が長引けば、介護や看護を担う人の不足が大きな課題になることもあります。一度届けて終わるのではなく、その後の声を聞き続けることで、次に必要な支援が見えてきます。
皆さまから寄せられたご支援が物資となって利用者の生活を支え、さらに、看護師が活動するための力となって、八祥苑で続く日々のケアにつながっています。熊本地震支援を支えてくださる皆さま、そして現地で一人ひとりに向き合ってくださる看護師の皆さまに、心より感謝申し上げます。