1. HOME
  2. Activity Reports
  3. 日本での活動
  4. 令和8年熊本地震
  5. 令和8年熊本地震|「本当にいただいていいんですか?」――声になりにくい福祉現場のニーズへ

令和8年熊本地震|「本当にいただいていいんですか?」――声になりにくい福祉現場のニーズへ

令和8年熊本地震の発生を受け、熊本県内の福祉施設などへ聞き取りを行い、支援が十分に届いていない場所へ必要な物資を届けています。

令和8年熊本地震07

発災から11日目の8月8日。訪問したのは、熊本県身体障害者能力開発センター。地震の影響で館内の空調設備が故障し、厳しい暑さのなかで施設の運営を続けていました。

さらに、今後は福祉避難所として、新たな避難者を受け入れる予定とのこと。施設を利用する方々に加え、避難してくる方々を迎えるためにも、暑さへの対策が急がれる状況でした。

空調が故障したまま、避難者を迎える準備を

連日厳しい暑さが続くなか、空調設備のない施設で過ごすことは、障がいや持病のある方にとって大きな身体的負担となります。体温調節が難しい方や、自分で体調の変化を伝えにくい方がいる場合には、熱中症などのリスクにも、より慎重に備えなければなりません。

そこでOBJは、事前に施設の担当者へ連絡し、必要としているスポットクーラーの機種や、施設内で使用できるかどうかを確認しました。

使用可能との回答を受け、現地でスポットクーラー1台を購入。あわせて必要とされていた紙皿、ラップ、除菌シートを施設へ直接お届けしました。

令和8年熊本地震07

福祉避難所として新たな避難者を迎える施設へ、スポットクーラーを寄贈しました

声が上がらないことは、必要がないことではない

電話で必要なものを確認した際、施設の担当者からは次のようなお声がありました。

「本当にいいんですか」「そんな高いものをお願いして申し訳ないです」

その言葉には、高価な物資を受け取ることへのためらいがにじんでいました。しかし、空調が故障した施設で新たな避難者を迎えるためには、暑さを和らげる設備が必要です。施設と使用環境を確認したうえで、OBJはスポットクーラーを寄贈しました。

令和8年熊本地震07

「今後も必要なときに使ってください」。スポットクーラーを受け取る施設の方とOBJスタッフ

今回の訪問で改めて見えてきたのは、本当は困っていても、「こんなものまでお願いしてよいのだろうか」と要望を控えてしまう福祉現場があるということでした。

福祉施設では、限られた人員や資源のなかで、利用者の生活と安全を守り続けています。災害によって職員自身も影響を受けるなか、日々のケアや避難者の受け入れを優先し、自分たちが抱える不足を強く訴えることが難しい場合もあります。

要望が強く出ていないからといって、支援の必要がないとは限りません。

「何か必要なものはありますか」と尋ねるだけでなく、現在どのような環境で過ごしているのか、これから誰を受け入れる予定なのか、日々の運営のどこに負担が生じているのか。一つずつ丁寧に話を聞くことで、初めて見えてくるニーズがあります。

そして必要性が確認できたときには、要望が出るのを待つだけでなく、支援する側から「必要であればお届けできます」と伝えることも大切です。

福祉避難所を支えることは、避難する方々を支えること

福祉避難所は、一般の避難所で生活することが難しい高齢者や障がいのある方などを受け入れ、その方の状態に応じた環境を整える役割を担います。

しかし、避難できる場所があるだけで、すべての方を受け入れられるとは限りません。

OBJが能登半島地震で支援した福祉避難所では、布団は用意されていても、介護用ベッドや暖房器具が足りないという状況がありました。床に敷いた布団から自力で寝起きすることが難しい方や、転落を防ぐためにベッド柵を必要とする方もいます。そこでOBJは、避難された方々の状態を確認しながら、介護用ベッドなどの必要な用品を届けました。

こうした経験からも、福祉避難所では「何人受け入れられるか」だけでなく、「その方が安全に過ごすために、どのような設備や環境が必要か」という視点が欠かせないことが分かります。

令和8年熊本地震07

断水が続く地域で必要とされる水や非常用トイレ

今回の熊本でも、空調設備が故障したままでは、暑さの影響を受けやすい方々を安心して迎えることができません。施設へスポットクーラーを届けることは、一つの設備を支援するだけではなく、これから避難してくる方々の安全と、その方々を迎える職員の働きを支えることにもつながります。

支援を必要とする方を直接支えること。そして、その方々を日々支えている施設や職員を支えること。その両方があってこそ、被災地の福祉を守ることができます。

声になりにくいニーズを、支援へつなぐために

災害時には、物資の要請や困りごとを速やかに発信できる場所がある一方で、必要があっても声を上げにくい人や施設があります。

OBJは、現地で待つだけでなく、後方支援チームによる電話調査や地域の関係者からの情報をもとに、福祉施設などへ働きかけています。

直接話を聞き、必要性を確認し、使用できる物を選び、できるだけ早く届ける。こうした一つひとつの過程を大切にしながら、既存の支援の網からこぼれやすいニーズを支援へつないでいます。

令和8年熊本地震07

まだまだ暑さが続く被災地で支援が続きます


「声が大きいか、小さいかではなく、そこにどのような必要があるのかを見る。」

OBJはこれからも、支援を求めることへのためらいにも心を配りながら、必要な方々のもとへ支援を届けていきます。

声になりにくいニーズを支えてくださる皆さまへ

今回、スポットクーラーや必要な物資を速やかに購入し、施設へ届けることができたのは、熊本支援にご寄付と応援をお寄せくださる皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。

皆さまから託されたご支援が、現場の声を聞き、必要なものを見極め、支援が届きにくい場所まで運ぶ力になっています。

これからも、一人ひとりの状況と、その方々を支える福祉現場に目を向けながら活動を続けてまいります。熊本での継続的な支援に、引き続きお力をお貸しください。

関連記事