令和8年熊本地震|「水が出る」だけでは戻らない日常――高齢者施設の介護を支える
水道が復旧し、飲み水として使えるようになった。
水は出ても、まだ飲むことができない。
井戸の断水が続き、給水車で日々の水を確保している。
同じ熊本県内でも、ライフラインの復旧状況や、その後に必要となる支援は一様ではありません。
今回、支援物資を届けた3つの高齢者施設から、写真とともにご連絡をいただきました。皆さまから託されたご寄付は、それぞれの施設で暮らす高齢者の衛生や健康、日々の介護を守るために活用されています。
水道復旧後も必要だった、毎日の介護用品
利用者28名が暮らす住宅型有料老人ホーム 絆では、8月中旬ごろに水道が復旧。町から飲料水として使用できることも確認され、水そのものは足りていました。
一方で、不足していたのが、大人用おしりふき、尿取りパッド、介護用ニトリルグローブなど、日々のケアで消費する介護用品です。排泄介助や清拭、衛生管理は、ライフラインの復旧後も毎日続きます。必要な介護用品が不足すれば、28名の生活を支える職員の負担も大きくなります。
施設に改めて必要なものを確認し、これらの介護用品を準備。9月半ばに届いた施設からのご連絡には、震災直後の状況について、次のように記されています。
「震災直後は停電・断水・酷暑の中、とても不安な日々が続きました」

28名の利用者の衛生と毎日のケアを支える、おしりふき、尿取りパッド、ニトリルグローブなどを届けました。
厳しい環境を乗り越えながら、職員の皆さんは利用者の生活を守り続けてきました。
「入居者様皆さんこの1ヶ月入院する事なく過ごせており、皆様からの温かいお言葉、お気持ちに支えられ少しずつではありますが落ち着いてきております」
この1か月、利用者が入院することなく過ごせたという言葉からは、被災下でも介護を途切れさせなかった職員の働きが伝わってきます。皆さまからのご支援は、その日々を支える介護用品となって届いています。
水道は復旧しても、まだ飲めない
宇城市の住宅型有料老人ホーム ハートフル・マインドでは、26名の利用者が生活しています。
8月25日に状況を伺った時点で、水道は前日ごろから復旧していました。しかし水質に問題があり、使えるのは生活用水としてのみ。飲料水は引き続き外部から確保する必要がありました。あわせて不足していたのが、滅菌ガーゼとビニールテープです。いずれも、利用者の身体の状態に応じた日々のケアを続けるために欠かせません。

水道の復旧後も水質の問題が残る施設へ、26名の利用者のための飲料水を届けました。

届けた滅菌ガーゼなどが、利用者の身体を守る日々のケアに活用されています。
そこで、2リットル入りの飲料水とともに、必要なガーゼやテープを届けました。災害時に注目されやすいのは、水や食料などの大きな不足です。しかし、普段から使っているガーゼなどの小さな物資が途切れることも、介護の現場には大きく影響します。
給水車が来ても、断水下の介護は続く
八代市の有料老人ホーム こころでは、44名の利用者が暮らしています。9月上旬には、施設が使用していた井戸水の断水が続いていました。修理業者は見つかっていたものの、工事の時期は決まらず、1日2回の給水車を頼りに施設運営を続けている状況でした。
さらに、施設を支える職員約4名の自宅も断水。自身の生活に影響を受けながら、利用者の介護を担っていました。44名が生活する施設では、飲み水だけでなく、排泄介助や清拭、衛生管理などにも多くの水を必要とします。給水車が来ていても、日常の介護に十分な水を確保できているとは限りません。

水を十分に使えない状況でも、利用者の清潔と日々の介護を支えられるよう届けました。

日々の水分補給を途切れさせないため、飲料水とともにお茶を用意しました。
施設から具体的な困りごとを伺い、飲料水とペットボトルのお茶に加え、簡易トイレ用凝固剤、大人用おしりふきを用意しました。水を届けるだけでなく、トイレで使う水を減らす凝固剤や、水を十分に使えない状況で清潔を保つためのおしりふきを組み合わせることで、断水下でも介護を続けられるよう支えています。
施設からは、
「支援物資をたくさんありがとうございます」
との言葉とともに、飲料水やお茶、衛生用品が並ぶ写真が届きました。
復旧の段階に合わせて、必要な支援を
水道が復旧しても、必要な介護用品がすぐに手に入るとは限りません。水が出るようになっても、飲用できない場合があります。給水車が来ていても、大勢が暮らす施設の介護や衛生に十分な量とは限りません。
だからこそ、「水道が復旧したか」だけで判断せず、その時点で何に困っているのかを改めて確認することが大切です。
皆さまから託されたご寄付は、飲料水や介護用品、衛生用品となり、高齢者の毎日の暮らしと、被災しながらケアを続ける職員を支えています。
熊本地震支援へ温かいご支援をお寄せくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。