新しいメガネで仕事復帰
岩手県陸前高田市ー地震から4ヶ月が去った今も、被災者の皆さんがメガネを必要としていることを痛感しました。岩手県の上閉伊郡大槌町そして陸前高田市、入り組んだ入り江を持ち、地震と津波で破滅状態となったこの二つの町で、私たちの一番最近の無償メガネ支援活動「アイ・クリニック」は開催されました。
オペレーション・ブレッシングの行うアイ・クリニック活動の特徴は、専門の機器を現地に運び込み、検眼士がそれらを用いて一人一人に検眼を行うという点です。 メガネはその処方箋をもとに東京で製作され、1週間後にお渡しとなります。
他にもメガネを提供している支援団体はありますが、並べられたメガネの中から自分の視力に近いものを選び出す形であり、処方箋に基づいて個別に作られたものではありません。そのため、「せっかく新しいメガネをもらったのによく見えない」という声が聞かれましたので、私たちの寄贈した一人一人にぴったり合ったメガネは、被災地の皆さんにとても喜んでいただけたようです。
時折、すでにメガネをかけてアイ・クリニックを訪れる方がいらっしゃるので、私たちが不思議に思って尋ねると、「これは借り物なんです」「これは私の古いメガネなんですけど、津波に見舞われてから見えづらくなってしまったんです」とのことでした。私たちは、メガネが大丈夫だったにもかかわらず、命からがら津波から逃れたという究極のストレスが、実際に皆さんの視力を低下させてしまったことを知りました。震災以前にはメガネの必要はなかったという方もいたのです。
メガネを失くした理由は、流された船や家の中に置いてきてしまった、逃げる時に壊れてしまった、見捨てざるを得なかった車の中に置いてきてしまった等様々でした。中には救助の際にヘリコプターの風で吹き飛ばされてしまったという方もいました。
陸前高田市の仮設住宅で開催したアイ・クリニックで、村上さんとフィリピン出身の奥さん、ペリータさんにお会いしました。村上さんはコンピュータのプログラマーとして都内近郊で働いていましたが、高齢の父を助け牡蠣の養殖をするために、故郷に戻ってきました。しかし、彼の故郷、彼の仕事、彼の家は津波によって全て流されてしまいました。メガネもその時に失くしてしまったのです。
今、村上さんは再びプログラマーとして働いています。以前の職場に復帰することが出来たのです。受け取ったメールには、「私の毎日の仕事にはメガネが欠かせません。一日中コンピュータの画面を見つめています。メガネをご提供下さり、本当にありがとうございました!」とつづられていました。
オペレーション・ブレッシングの支援者の方に心から感謝いたします。皆さまのおかげで宮城県と岩手県沿岸の被災地18カ所に1,961組のメガネを届けることが出来ました。