和船寄贈プロジェクト ”三陸仕様”の和船の寄贈
震災から1年。
三陸の漁産業に必要不可欠な小型の船=和船は、震災の影響による生産の遅れで、国内では未だ入手しにくい状況が続いています。
この状況を受け私たちは、宮城県気仙沼市 大谷・本吉地区の漁業者さんに、アメリカのメイン州の造船所でオーダー製作した19フィート和船を10隻、寄贈することにしました。
今回寄贈するのは、地元・気仙沼の漁業者さんとニーズを相談しながら造った、”三陸仕様”の和船です。作業がしやすいよう床を深くとってあり、さらに、収穫物をたくさん載せられるよう幅を広くするなどの工夫が施されています。海の上でも安心して仕事が出来るよう、特に安全面に配慮した設計がなされています。
アメリカからの輸送の際には、コンテナ1台に収める必要があったため、船本体とイケスなどの内部パーツが分かれていたので、それらの取り付け作業は現地で行いました。
寒い中、地元の漁師さん達が、最終調整や清掃を手伝ってくださいました。
3月10日の寄贈式当日。
午前中降っていた雪まじりの重い雨はあがりました。冷たい海風が吹き付ける中、宮城県漁協大谷本吉支所の職員の皆さんが華やかなステージを作ってくださいました。
今回スポンサーとして多くのご支援をいただいた、SAPジャパン株式会社の震災復興支援チーム”SAP Solidarity Fund and Japan TEARS team”の皆さんも東京からはるばる駆けつけ、一気に会場が華やいだところで、式は無事開会しました。
気仙沼市の菅原 茂市長をはじめ、たくさんの方々がご出席くださいました。今回は震災後1年ということで海外からの注目度も高く、米NBCなど各国のメディアが大勢取材に来ています。
和船の新オーナーとなる10人の漁師さんがステージにあがり、一人一人に日本支部代表のドナルド・トムソンから贈呈状が手渡されました。
この後、気仙沼大谷地区の皆さんによる平磯虎舞いが披露されました。
虎舞いの発祥は天保時代にさかのぼり、「虎は千里を駆けて千里を帰る」という言い伝えから、出漁の安全・大漁・豊年満作・家内安全を祈願して鎮守の祭礼には書かせない祭儀とされて大切に受け継がれてきたそうです。
勇壮な太鼓の音が港に響き、虎が舞い踊ります。虎がゲストの頭を一人ずつパクッとかんで回ったので、会場に笑いがあふれました。
虎舞いの後には、新しい船の門出を祝って餅まきが行われました。
そしていよいよ新しい船の進水です。
それぞれに新オーナーさんとゲストが乗り込み、揚々と港内を旋回しました。
はじめて船を操縦したオーナーさんたちも「すごく安定していて乗りやすい船だねぇ」と喜んでくださいました。
午後5時、式典は滞りなく終了しました。
震災から1年という大切な区切りの時期に、このような式を催してくださった宮城県漁協大谷本吉支所の皆さまに心より感謝いたします。 これからも私たちは被災地の皆さんに寄り添い、三陸の海の復興をサポートし続けていきたいと思っています。