【福島:心のケア】子どもたちを見守る目
2017年3月3日
「ただいま!」
春の柔らかい日差しが差し込む部屋に、2人の女の子の元気な声が響き渡りました。
今回あとりえほーぷが訪れたのは、福島県南相馬市の大甕生涯学習センター。
「おかえりなさい」とスタッフが暖かく迎えたあとは、いつも簡単なゲームをしてから工作を始めるのが習慣となっています。
今回は一年間お世話になった先生と、仲良しのお友達にあてて、「ありがとう」の気持ちを込めたメッセージカードを書きました。
するとAちゃんが、私たちスタッフへ向けて次のような話をしてくれました。
「あとりえほーぷに来ると、いろんな新しいことを知ることができる。前にラップの芯を使ってレインスティックを作ったときも、『雨の音ってこういうふうに表現できるんだ』って初めて知った。それがすごく面白いし、勉強になるんだ。」
あとりえーぷが好きなんだね、とスタッフが声をかけると、Aちゃんは次のように答えました。
「うん。大人の人から何かを教えてもらうことって、なかなかできないから。すごく特別なの。」
そのAちゃんの言葉を聞いたとき、震災によって大きく変化した地域コミュニティの現実をかいま見たように感じました。
原発事故によって他県へ移住する人が増えた福島県では、いままでその地で築かれてきた人々のつながりが急速に失われてきました。
それと同時に、子どもを大人たちが見守る地域力も低下してきているように思います。
オペレーション・ブレッシング・ジャパンのあとりえほーぷでは、創作活動を中心とした心のケアと共に、子どもたちの居場所作りを大切にしてきました。
人は誰しも安心して過ごせる場所、自分の心のうちを打ち明けられる場所が必要です。
それは子どもにも等しく当てはまることですが、既存のコミュニティが崩壊してしまった福島の子どもたちにとって、家庭以外でそのような場所を見つけることは困難になってしまいました。
だからこそあとりえほーぷでは、子どもたちがいつでも安心して遊びに来れるような、「ホッ」とする場所でありたいと願っています。
子どもの心が豊かに成長していくには、常に自分が相手に受け入れられているという安心感と信頼感が何よりも需要な基盤となります。
見守ってくれる相手に頼ったり、支えられたりする体験を重ねた子どもが、安心して自己主張できるようになり、自ら考え行動する強さを身につけていくのです。
福島の子どもたちがの強さが、福島の将来につながっていきます。
オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、未来の担い手となる子どもたちの健やかな成長を、今後も長期的な視点から支援していきたいと願っています。
震災から丸6年。復興はこれからも続いていきます。
皆様のご支援をお待ちしています。
■福島心のケア 支援の窓口