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旱魃に踏みにじられた暮らし

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第三世界で旱魃(かんばつ)が起こると、水道のない家に住む家族は大きな打撃を受けます。雨が降らなければ作物は実りません。作物が実らなければ、食べるものが手に入らなくなるのです。川の近くに住んでいる幸運な家族なら、水路を掘って畑の近くまで水を引き込み、腰を痛めるほど重いバケツを1日に何度も運んで、作物に水をやることができるでしょう。けれども多くの場合、そんなことは不可能です。

先日、ケニアを訪れたとき、私はマサイ族の幼児とその家族に出会いました。彼らは毎日空腹と戦っていました。3歳のランパティは、空腹のあまり、母親が裸火で調理していたオートミールに手を伸ばして鍋をひっくり返し、こぼれたオートミールをかぶってやけどを負っていました。私はその日、オペレーション・ブレッシング・インターナショナル(OBI)が建設した新しい学校の開校と井戸の完成を祝うために、彼らの村を訪れていました。

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OBIのケニア事務所は、ランパティのやけどを治療するため、以前から彼とその母親に接触していました。事務所のスタッフから彼らと会ってほしいと言われた私は、井戸の完成式典でランパティの母親ラソイに紹介され、学校の開校式ではランパティの6歳の兄ティハヨに紹介されました。ラソイは、以前よりずっと近い場所に水汲み場ができ、自分の子供たちが教育を受けられるようになったことに大喜びしていました。私たちは彼女に、その日の午後に自宅を訪問させてほしいと頼みました。

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彼らの家は、マサイ族の基準からしても非常に粗末なものでした。私たちはそこで、ラソイと立ち話をしました。泥とワラでできたあばら屋の中には、ランパティの2人の兄が座っていました。ティハヨとロイソルワです。私は2人に微笑みかけ、写真を撮りました。けれども、彼らの目に絶望しか浮かんでいないのに気づき、それ以上写真を撮ることができなくなりました。私はケニア人のスタッフから、ラソイにはもう2人子供がいたが、前の年に栄養失調で死んでしまったと聞きました。彼女の悲しみと、彼女が直面している困難に、私の胸はひどく痛みました。

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「ご主人は今どこに?」と、私は尋ねました。

「別の場所で暮らしています。1ヵ月に12ドル(約1000円)の報酬で家畜を育てる仕事をしていますが、十分な収入ではありません」と、ラソイが答えました。

「私は薪(まき)にする木を切ってきて市場で売っていますが、それでもまだ足りません。……子供たちに食べ物を買うため、ほかの人の仕事も手伝っています」

「そのお金で、お子さんたちは1日に1度は食事ができるようになりましたか?」

「まだ足りません。お隣に食べ物をもらいに行かなければならない子もいます。私はそのことに心を痛めています」

幸いなことに、ラソイや、彼女と同じように苦しんでいる家族を助ける取り組みが始まっています。

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OBIの新しい学校では、子供たちに毎日温かい食事とおやつを提供する給食プログラムを始めようとしています。新しい井戸もできたので、村の畑に水を供給する灌漑施設の建設にも着手することができます。ラソイや他の村人は、ここで自分たちが食べる分の作物を栽培できるだけでなく、その作物を売って現金収入を得ることもできます。

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私は、ラソイとその息子ランパティと、生活を再建しようと必死に努力する村人のために祈らずにはいられません。旱魃は決して好ましいものではありません。……けれども私は、OBIのチームに同行して旱魃地域を訪れるたびに、OBIや支援者の皆さんが、飢餓と戦い、人々の命を救うための持続可能な解決策を通じて人々に希望を与えていることが嬉しくてならないのです。

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