「一人じゃないよ」と伝え続けるために 〜仙台・勾当台公園『OBJ青空会お弁当くばり』の現場から〜
仙台市・勾当台公園で毎月行っている「OBJ青空会お弁当くばり」。
5月らしい緑が生い茂る暖かな日差しの中、今回も多くの方が会場を訪れました。この日は、これまでの開催の中でも特に多くの方がお弁当を受け取りに来られ、角煮弁当81食をお渡ししました。あわせて18.8kg分の物資支援も行い、衣類などを必要とされる方々へ届けることができました。
物価高が深刻化する中で
近年、生活に困難を抱える方々を取り巻く状況は、いっそう厳しさを増しています。
総務省の消費者物価指数では、2026年4月の総合指数が前年同月比1.4%上昇、生鮮食品とエネルギーを除く指数も1.9%上昇しており、食料品や生活必需品を中心とした値上がりは、日々の暮らしに重くのしかかっています。政府も、食料品の物価高騰や電気・ガス代などの負担増を受け、生活者への支援を進める必要性を示しています。
こうした物価高は、収入が不安定な方、住まいに不安を抱える方、日々の食事を確保することが難しい方に、特に大きな影響を与えています。
青空の下に生まれる、あたたかな交わり
会場には、アメリカから来日した宣教師のジェフさん、香港からの若いボランティアチーム、大学生、そして地域の教会や協働団体の皆さんが集まりました。
青空の下、キッチンカーからお弁当が手渡され、物資の並ぶブルーシートの上では、一人ひとりが必要なものを選んでいました。木陰では会話が生まれ、音楽が流れると、自然に前へ出て踊る方の姿もありました。そこにボランティアも加わり、支援の場でありながら、どこか家族の集まりのような、穏やかであたたかな時間が流れていました。
東日本大震災から続く課題
この活動の背景には、東日本大震災によって職を失い、今なお生活に苦しさを抱えている方々の存在があります。
当時、突然仕事を失い、これからどう生きていけばよいのか見えなくなった方も少なくありません。生活の困難は、時間が経てば自然に解決するものではなく、孤立や心の傷、健康の問題、住まいの不安、そして現在の物価高とも重なり、長く続いていくことがあります。
「また会えてよかった」と伝えられる場所
だからこそ、私たちはお弁当や物資を届けるだけでなく、「あなたのことを覚えています」「また会えてよかったです」と伝えられる場所を大切にしています。
毎月同じ場所で顔を合わせること。名前を呼び合うこと。短い会話を重ねること。その一つひとつが、生活を立て直すための小さな支えになると信じています。
支援を受ける側から、支える側へ
現場では、以前は路上生活をしていた方が、今では仕事に就き、設営の準備を手伝いに来てくださっています。
かつて支援を受けていた方が、今度は誰かを支える側として関わってくださる。その姿は、この活動が生み出している大きな希望です。人は安心できる関係の中で、自分の生活を守ることで精いっぱいだった状態から、少しずつ「誰かのために動きたい」と思えるようになるのだと教えられます。
一人ひとりの歩みに寄り添いながら
もちろん、現場ではすべてがきれいごとで進むわけではありません。幼い頃からの養育環境、抱えている障がい、長年の孤立、失敗や喪失の経験など、一人ひとりの背景は複雑です。すぐに変化が見えることばかりではなく、何度も同じ課題に向き合うこともあります。
それでも私たちは、その人の歩んできた道のりを一つひとつ受け止めながら、生きる意味を共に見出していきたいと願っています。
「あなたは一人ではない」と届けるために
本当に生きるということは、どこまでいっても誰かの支えになることだと、私たちは信じています。
支援する人、支援を受ける人という区別を越えて、同じ場所で食事を分かち合い、言葉を交わし、笑い合う。その関係の中で、人はもう一度、自分の存在に意味を見つけていくのではないでしょうか。
今回の活動は、PCC教会、OM、YWAM、いこいの汀教会、FCBC仙台、大船渡グレイスハウスの皆さまとの協働によって実施されました。そして、この働きは日頃から支えてくださる支援者の皆さまの祈りとご協力によって継続されています。
皆さまの支援は、単なる一食や一つの物資にとどまりません。それは、物価高と孤立の中で不安を抱える方へ、「あなたは一人ではない」と届けるメッセージです。
これからもOBJ青空会お弁当くばりを通して、一人でも多くの方が安心し、誰かのために生きる力を取り戻していけるよう、歩みを続けてまいります。