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【エジプト】誘拐、人身売買…標的にされるコプト正教徒クリスチャン

エジプトのコプト正教徒クリスチャンを狙った人身売買のまん延は、以前からクリスチャン監視機関によって問題視されてきました。
2010年に設立されたCoptic Solidarity(コプト正教徒の平等な市民権獲得に尽力する擁護団体)は、先月「ジハードの真相~コプト正教徒を狙った人身売買」というレポートを発表。
「コプト派の女性および未成年少女を狙った誘拐や失踪は、コプト派コミュニティーに致命的なダメージを与えている。にもかかわらず、エジプト政府や外国政府、非政府間団体(NGO)や国際機関が具体的対策を取った形跡はほとんどない。」と厳しい現実を訴えました。

貧しい女性たちを狙った巧妙な罠

CBN News国際特派員のゲーリー・レーン氏は、何年にも渡ってこの窮状を報道してきました。
「イスラム教が優勢な国家において、コプト正教徒クリスチャンの女性はしばしばイスラム教徒の標的にされてきました。
彼らの多くは親切心を持って近寄り、贈り物を差し出して、貧困にあえぐクリスチャン女性を惑わします。
若いイスラム教徒男性の見た目の良さや優しさが、彼女たちに「裕福な暮らしや安定した人生を送れるかも」との空想を抱かせ、家族から引き離してしまうのです。
ある少女はレイプされ、家族は文化的恥辱に苦しみます。そうなると、被害者はイスラム教への改宗または結婚が、この恥を取り除く唯一の解決法だと考えてしまうのです。


また先ほどのレポートでは、エジプト政府による行動力の低さも指摘しています。
このような事件に関しては立ち入った調査をしない理由として、エジプト政府は「女性が自主的に家族の元を離れた」と主張し、Coptic Solidarityはその無責任な弁明を批判しました。

レーン氏はまた次のように語りました。
「数年前に、持ち物がわずか洋服1着だけというクリスチャンの少女の話を聞いたことがあります。彼女の毎日の食事は、野菜が入ったご飯1食のみ。
ある日、ハンサムで若いイスラム教徒の男性が、彼女に1着の洋服を贈りました。そしてファストフード店で食事をしないかデートに誘い出したのです。
結局、彼女が家族の元に帰ることはありませんでした。彼がその子を誘拐したのです。」


ミニヤ県に住むある司祭は、彼の管轄地区だけで少なくても15人の少女が毎年行方不明になると語りました。
彼自身の娘も、もし介入するのが間に合わなければ、イスラム教徒男性が攫われるところだったのです。

Coptic Solidarityのレポートはこの窮状を次のように記載しました。
「誘拐された女性の大多数は、2度と家族もしくは友人の元へ帰れません。
エジプトの警察が、事件に真面目に取り合わず腐敗しているからです。警察が誘拐に共謀し、賄賂を受け取って沈黙を貫いていると主張する被害者家族も数え切れないほど存在します。」

深刻な警察の腐敗と癒着

レーン氏は、被害者とその家族の状況を見て見ぬ振りすることが、エジプト当局の「当たり前の日常」となってしまっていると訴えています。
「特に上エジプトの小さな村に住むクリスチャンには、イスラム教法執行機関からの支援がほとんど行き渡りません。
私は、ある誘拐された15歳の少女の父親に会いました。
その貧しいクリスチャンの農業労働者は、娘を誘拐した犯人の正体と娘の居場所を突き止めました。そこで彼は警察署に行き、知り得たことを報告し、警察署長に娘を救出してほしいと願い出ました。
するとその警察署長は、父親の顔を平手で打ち、『異教徒の娘の捜査をするほど俺が暇だと思っているのか?』と怒鳴りつけたのです。


Coptic Solidarityのレポートは、エジプトのメディアをはじめ、コプト派のコミュニティーおよび聖職者、被害にあった女性の家族から入手した情報をもとに作成されました。
今後、国連機関および人身売買に関する米国オフィス(OTIP)に提出される予定です。

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