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「聖書のみことば何度も声に出して」生き埋めから生還した美文さんの証【熊本地震】

4月14日、熊本・大分などを襲った熊本地震。熊本県益城町では震度7の激震を観測し、市内にある熊本東聖書キリスト教会(豊世武士牧師)の会堂が全壊しました。豊世牧師の娘美文(みふみ)さんは、当時風呂場のドアの下敷きになり、5時間後に救助隊によって救出されました。
今回美文さんにインタビューする機会が与えられ、その時の体験をお話していただきました。

豊世美文さん(熊本東聖書キリスト教会にて)

「人生で唯一頼れるお方」~2016年4月 熊本地震を経験して~

私はクリスチャンホームに生まれ、小さい頃から毎週日曜日は家族で教会に行っていました。日曜学校では、みことばを暗唱したり聖書の話も聞いていました。
大人になってからもその生活に変わりはなく、牧師になった父が生まれ育った益城で開拓伝道をするため、毎週日曜日には自宅の一室が礼拝堂となり、当たり前のように礼拝に参加していました。しかし、次第に私は聖書を開いても、礼拝メッセージを聞いても、ただそこに居るだけで、その心も神様の方を向かなくなっていました。

そんなある日の夜。今から約5年前の2016年4月14日午後9時26分の事です。
私の住んでいた益城町を突然震度7の地震が襲いました。礼拝をしていた自宅は真っ二つに分かれてしまいました。幸いなことに私の両親は、その屋根が分かれた真下に居たので何も落ちてくることもなく、奇跡的に無傷で脱出することが出来ました。
しかし私はお風呂に入ろうと1階脱衣所に居たので、崩れ落ちた2階の天井や脱衣所のドアの間に挟まれ自分一人では全く何もできない状態になりました。

地震発生直後の豊世さん自宅。豊世さんは低体温症の危険もあり、救出作業は時間との戦いだった

何回も続く余震に家全体がきしむ音…。その度に自分にドアや天井が迫って押し潰されそうになり、不安と恐怖を感じる中、突然あるみことばが示されました。
「たとい死の陰の谷を歩くことがあっても私はわざわいを恐れません。あなたが私とともにおられますから」(詩篇23篇4節)

それは、聖書のみことばがほとんど心に留まらなくなった私でさえ思い出せた、小さい頃に暗唱していた有名な聖書の箇所でした。
私は何度も何度も声に出して言いました。神様はこのみことばを通して不思議と私の心に平安を与えて下さいました。
死をも覚悟するような状況の中でもパニックになることなく、唯一自由に動かせる右手でタオルをたぐり寄せ体を覆ったり、救助隊の方とノックの合図で自分の居場所を知らせコンタクトをとったりと、冷静に判断する力も与えられました。
みことばの通り神様は私とともに居て下さり強められた私は、救助を待つ間「救助隊に力を与えて下さい」と祈ることもできました。
私は5時間の救助活動の後、2階の床をくりぬいて無事に救出されました。

完全に押しつぶされた豊世さんの自宅一階

2日後の16日未明にも同じような震度7の地震が起こりました。私たちは既にそこにはいなかったのですが、驚くことに自宅は1回目の地震で離れていた部分が元に戻り、くっついていました。両親の脱出のためにつくられた道。神様の不思議な御業を感じずにはいられませんでした。

余震後の豊世さん宅。空いていた隙間が完全に潰れ、どこからも立ち入れない状態になっていた

今まで神様を見上げつつも自分の道は自分で歩めると思い込んでいた私に、神様はこの震災を通して「私の人生で頼れる、そして従うべき方は唯一神様である」という確信を与えて下さいました。そして何よりも聖書のみことばこそ、私が生きていく上ですがっていくべきものだという事も痛感しました。
私は神様から離れたと思っていたのに、神様は私を離れることはない!この事実は人生において、何にも代えがたい大きな力です。