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【ボランティア2日目】”被害は想像をはるかに超えていました”(熱海伊豆山)

8月最後の週末、関西学院高等部ボランティア委員会の皆さんがボランティアに来てくださいました。2日目の活動ではシニアカフェでの交流、災害現場の視察、そしてキッズクラブの様子をご紹介します。
→1日目の様子はこちらからご覧ください。

演奏で心を開き、ひまわり作りで距離を縮める~シニアカフェにて

2日目朝一番のプログラムはシニアカフェでの演奏発表と交流会。計画当初はコントラバスなどの本格的な演奏を予定していたのですが、コロナ禍もあって今回は断念したとのこと。この日のために練習を重ねてきた松隈先生のギターと鍵盤ハーモニカのセッションで、”赤いスイートピー”などの昭和な曲、”ルパン三世”や”となりのトトロ”など様々な曲を披露してくださいました。参加された皆さんは懐かしいメロディーを和やかな笑顔で楽しそうに聴いていらっしゃいました。

熱海ボランティア

演奏の次は事前に準備してきた「ひまわり作り」。茎と葉だけの背景を黒板に貼り、4つのグループに分かれて花びらや真ん中の種の部分などのパーツを組み合わせて花を作っていきます。1日目のキッズクラブと同様、高齢者の皆さんともすぐに距離を縮め、各テーブルで色々な話に花を咲かせていました。一緒に何かを作り上げながら、その過程で自然に話が広がっていく・・・なかなか上手く考えられたプログラムです。

シニアカフェ ボランティア ひまわり作り

ボランティア シニアカフェ ひまわり作り

最後は模造紙いっぱいに夏らしい、個性的なひまわり畑が出来上がりました!

「子どもは私たちに対して災害のことも話してくれたけど、高齢者の方は話さないので、口に出したくないほどの傷がついているのかなと思いました。」
「皆さん温かく話しやすい素敵な方々だった。お年寄りの方はたくさん災害を経験していると思うんで、そのうちの一つなのかもしれないけど、年を重ねてくる中で乗り越えてこられたのかなと思いました。」
「高齢の方とあまり接したことがなかったけれど、熱海のここがいいとか教えてくれたりして、楽しかったです。」

普段通りに自然に接しているように見えていましたが、後から聞いてみると、それぞれに感じたものがあったと教えてくれた高校生たちでした。

”被害は想像をはるかに超えていました”

シニアカフェの皆さんをお見送りした後、地元の魚屋「魚久(うおきゅう)」さんのお弁当でお昼休憩。その後、キッズクラブの子ども達が来るまでの合間に災害現場をスタッフが案内しました。

熱海土石流災害現場

・当時は通行止めで向こうへ行けなくて、地域が分断された生活道路
・一時期、別々の学校で間借りして過ごさなくてはならなかった児童たち
・当時の子どもたちのたまり場が全て流され行き場がなくなったこと
・遊び場がなくなってしまった子ども達が再び公民館に集まるようになったこと
・きれいに整地が進んでいるように見えるけれど、住民の今後の生活は不透明なままであること
そうした説明を聞きながら、実際に目で見る光景にしばらく見入っていました。

熱海土石流災害現場

ボランティア委員会 みーたん「歩いているとき、向こうにきれいな海、その手前に土砂で汚れた家があって、ニュースを見てると自然災害なのか人災なのかにスポットが当たった記事が多かったと思うけど、そこが大事なんじゃなくて、そこに住んでいる人にはそれぞれに生活があったし、子ども達とかそれぞれに交友関係があった。それが災害によって崩されて失ってしまったものもあったんだと、実際に見てそういうことを実感しました。来なければ、ニュースを見ただけでは違ったところに重点を置いて考えてしまっていたなと思いました。」(みーたん)

ボランティア委員会 ゆっきー「見たことのないような景色でした。伊豆山神社に行ったとき、前にここにおられたキリスト教の方が土地を貸してくださったという話を聞いて、全然知らない人なんだけど、その人とも気持ちが通じ合うことができたかなととても感動しました。」(ゆっきー)


ボランティア委員会 りんりん「もともとはこういう家だったのかなと想像してみたら、あんまり自分たちとは変わらない生活だったんだと思ったけれど、今日見た景色は土砂でとても崩れていて、災害一つで毎日の生活がこんな一瞬で消えてしまうんだなと思ったら、率直に怖いなって思いました。」(りんりん)


ボランティア委員会 まゆちゃん「土砂とかで家にどれくらいの災害が出るのか想像がついていませんでした。初めて見て、思っていたよりひどく、家の壁にまだ土砂がついていたり、壁に土砂で穴が開いている家がたくさんあったり、土と水だけの被害なのに、想像をはるかに超えていました実際に見て考えが変わりました・・・。」(まゆちゃん)

”熱海土砂災害は、これまでの被災地と大きく違う印象がありました”

熱海土石流災害現場

西の兵庫からみると静岡県は東日本にあたり、熱海の土砂災害については他の自然災害に比べてあまり大きくとらえられていなかったと、松隈先生は教えてくださいました。

松隈先生今回熱海でボランティアをしたいと考えた最初の理由は、クリスマス献金が実際にどのように使われているかを体験し経験し、礼拝で発表するというプログラムを持っているからなのですが(今回も冬くらいに全校生徒の前で発表する機会があります)、もう一つ理由がありました。

これまでの被災地と大きく違って、あまり熱海のために献金をしようという動きがなかったことに驚き、兵庫県の西宮市でニュースの映像を見たけれど、他の被災地に比べて、何か熱海が置き去りにされている、忘れられている感が個人的にありました。実際に(関西学院の)聖書の授業の中で、『昨年はどんな災害があったか』と問いかけたところ、熱海という回答はなかったのです。東日本大震災や熊本などの大きな災害は心に残っているが、昨年あった熱海は残っていない。これまでの被災地と違って、あまり関西に情報が入ってこない被災地、それが熱海だと思っています。

今回こうして災害現場の周りを一緒に歩いて、詳しく教えていただいたので、生それを学校に帰って徒たちに伝えたいと思います。

子ども達の笑顔は地域を元気に~ボランティアの皆さん、ありがとう!

午後は再びキッズクラブの活動に参加。2日目ともあって子ども達も到着するなり一緒に元気よく遊び始めていました。災害現場を見た後だけに、高校生の胸中には昨日とは違うものがあるのかもしれません。

ボランティア キッズクラブ

「昨日の藍染めで仲良くなったので、今日はその子個人と向き合って、災害だけじゃなくていろんな話ができたらいいなと思います。」
「遊んだ時に『明日も来てくれると嬉しい』と言ってくれたので、そういう風に思ってくれているのが嬉しかったです。夏休みの楽しい思い出を作ってもらえるように、私たちも全力で楽しんで頑張りたいと思います!」

その言葉通り、ゲームやキャッチボール、かくれんぼやカードゲーム等で一緒に遊んだり、子ども達の話にゆっくり耳を傾けたり、帰りのバスの時間までめいっぱい接してくれたのでした。

「子ども達が元気に笑顔になると、地域の大人も元気になるんです。」とは熱海支援を担当するOBJスタッフ南條。
遠くから遊びに来てくれた高校生たちとの夏の思い出は、伊豆山の子ども達の心にずっと残り、それがまた地域の回復につながっていくものと思います。

熱海伊豆山 仲道公民館

みーたん、ゆっきー、りんりん、まゆちゃん、そして松隈先生、2日間のボランティア活動をありがとうございました!
「奉仕のプロ」として、今後の活躍を期待しています!


1日目はキッズクラブの子ども達と一緒に地域のあいぞめ珈琲店で藍染め体験をしました。
→ボランティア1日目の様子はこちらからご覧ください。

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