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【ボランティア1日目】関西学院高等部の皆さんが来てくれました!(熱海伊豆山)

昨年7月の土石流発災直後より支援活動を継続している熱海市伊豆山地区。今年8月最後の週末に、関西学院高等部ボランティア委員会の皆さんが来てくださいました。

「昨年クリスマス献金を寄付させていただいた被災地で、自分たちの献金が実際どのように被災地をサポートしているのかを生徒に知ってもらいたい。ただ行くだけじゃなく、実際の支援にボランティアとして関わらせていただくことで、身をもって感じる何かがあると思っています。」
このように引率の松隈先生が話してくださいました。

権現坂

1日目は公民館を出て藍染め体験へ向かいました!

移動や宿泊、活動内容も含め、生徒たちが計画と予算を立てて実施しているというボランティア活動。2日にわたる様子をご紹介します。
活動の一部は動画でもご覧いただくことができます→https://youtu.be/3qkNUUrtsGU

”変な考えは持たずに全力で楽しみたいと思います”

26日の午前中、山側と海側の急坂を上り下りして3軒ほどの戸別訪問を終え仲道公民館に戻ると、人なつっこい笑顔の高校生4人と、素敵な笑顔の松隈先生が既に到着していました。汗だくで息も切れ切れにご挨拶し簡単な自己紹介をした後、午後のキッズクラブに向け、Tシャツにネームシールを張ってスタンバイ。みーたん、ゆっきー、りんりん、まゆちゃんの4人です。

熱海ボランティア

午後になって一人、また一人と子ども達が公民館に集まってきました。今日はいつものクラブと違って「あいぞめ珈琲店」での藍染め体験が待っています。染めたいバッグやハンカチ、Tシャツなど、それぞれに持参していました。はじめは少し照れた感じのあった子ども達でしたが、

「同情して遊ぶとか、そういう経験(災害)があったからちょっと優しく接するとか、というのはちょっと違うと思っていて、私たちが普段しているように、普通に元気に遊ぶことで日常を楽しめるのかなと思うので、変な考えは持たずに全力で楽しみたいと思います。」

そう言って積極的にコミュニケーションをとりにいく高校生たちは、子ども達と早々に打ち解けていました。

海が見えるカフェで藍染め体験~個性を表現!

熱海 あいぞめ珈琲店

公民館横の権現坂を約400段、降りていった先にある”海が見えるカフェ”の看板と大きなソフトクリームが目印。お店は2階にあるため、階段の上り下りがつらい方、車椅子で来られる方のために昇降機が設置されています。人と人が逢初める=出会う場所になれるようにという願いが込められたあいぞめ珈琲店。店内には地域の人々や熱海を訪れた方々、応援している人たちからの様々な作品やメッセージが飾られています。

あいぞめカフェ藍染め体験

藍染め体験

子ども達は2つのテーブルに分かれて説明を聞き、好きな色で思い思いに藍染めを体験していきます。学校の上靴も染められるのには驚きでした!色々な染料が用意されていて、染め方も自由に選べます。どちらのテーブルも話声と笑い声に包まれて、口と手、どちらを動かしているのかと思うほど(笑)、でもしっかりと時間内に終わっているから不思議です。心の中に浮かぶイメージや個性がよく表現され、それぞれに「らしさ」がにじみでていました。

あいぞめカフェ海が見えるカフェ

店内にはテーブル席の他、窓一面に広がる海の景色を楽しめるカウンター席もあります。

-子ども達との藍染め体験について
『楽しかったが一番の感想です。でも途中、隙間から見える崩れた家とか見ると、自分が全然考えたこともなかったこともなかった経験をしている子がいるのかなと考えて少し辛かったけれど、藍染めをする中で、一人一人みんな違う色で個性が出ていて、お互いに楽しめてよかったです。』

熱海伊豆山 ボランティア

帰りはスイスイ上って行く子もいれば、なかなか足が進まない子も。「公民館ではジュースが待ってるよ!」の声に励まされ、みんな頑張りました。途中、児童の1人アリアちゃんが横道に入って行って「私の本当のおうちはこっちなの」と教えてくれました。土石流現場のすぐそばに自宅があり、発災時は梯子を上って家族5人、なんとか脱出できたのだそうです。家はそのまま残っていますが、警戒区域の中にあるため、今は近くのアパートに仮住まいしているとのことでした。

熱海伊豆山仲道公民館

熱海伊豆山仲道公民館

公民館に戻った後は元気にキャッチボールをしたり、カルタをしたり、それぞれに過ごし、「明日も遊ぼうね!」と言う子どもたちを見送って1日目の活動は終了です。

発災当時はとにかくストレスを発散するかのようにひたすら走り回っていた子どもたちが、今はだいぶ落ち着いてきたことを話すと、
「はじめ、普通に遊んでいて周囲の子ども達と変わらないなと思っていたんですが、話を聞く中で自分の家に住めなくなったということや、走り回れる場所が限られていたりとかいうことを聞いて、自分が同じ年ごろの時には思いもつかないような経験を乗り越えていて、気が付かないうちにストレスがたまっているんだろうなと思って、少し心が苦しくなりました。」
そのように感じたと話してくれました。

”奉仕のプロとなれ”~関西学院が大切にしているもの

ボランティア委員会の顧問でもある松隈先生に、この活動で大切にされていることなどをお聞きしてみました。

「ヤコブの手紙2:14に『わたしの兄弟たち、自分は信仰を持っていると言う者がいても、行いが伴わなければ、何の役に立つでしょうか。』という聖句があります。信仰には行いが伴わなければならないので、ボランティアは最たるものかなと思っています。」

こうした思いから始まり、次のようにお話してくださいました。

関西学院高等部ボランティア委員会松隈先生今回は関西学院高等部の4名の生徒を引率してまいりました。
兵庫県の西宮市にあるミッションスクールですけれども、建学の精神が”Mastery for Service”といって一般的には「奉仕のための練達」とも訳されるのですが、高校生には難しいので、聖書の授業等では「奉仕のプロとなれ」と「奉仕のプロを育成する学校だ」というように教えています。
そういった中で生徒たちが奉仕のプロとして、訓練として今回のようにお邪魔しています。
私はヤコブの手紙2:14が好きなのですが、様々な事柄や知識の学びは大切ですが、それだけではなく、やはり行いがともなわなければならないと、それを生徒に教えているわけですから、私自身も生徒と一緒にここでボランティアという形で行いを実践できればと思っている次第です。

生徒たちがボランティア委員会に入ってくる理由は大きく2つあると思っています。
1つはこういったことは苦手だけれど、奉仕のプロとなる学校に入ったのだから、そのことを習得しないのはいけない、苦手なんだけどもそういうプログラムに積極的に参加すべきだと思っている生徒。
もう1つはボランティアを本当にやりたいという強い思いを持っているけれど、なかなか高校生がボランティアをするというのは壁が厚く、ボランティアブームとはいいますが、大人ではない、子どもである高校生がボランティアをするというのは積極的に受け入れてもらいにくい現実があります。学校単位で動く場合は、学校が訓練した子どもたちで学校が責任を持つので受け入れてもらいやすい。ボランティアしたい子はこうした委員会に所属して、関西学院の名前を上手く使って、ボランティアを積極的にしています。

今回はそれぞれが自分なりに目標を立ててボランティアに参加しており、4人それぞれの目標があってここにきているので、それが達成されているかなと思っています。教師としてはとても嬉しく、一人ずつ目標や背景が違うので、それを知っているものとしては本当によい時間を過ごせてありがたいなと思っています。


2日目はシニアカフェでの交流、災害現場の視察、そして引き続きキッズクラブのサポートをしていただきました。
→2日目の様子はこちらからご覧ください。

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