【令和6年能登半島地震】一年を振り返る現地活動レポート
2024年元旦、奥能登を震源とした「令和6年能登半島地震」の発生から一年が経過しました。多くの建物の倒壊・損壊に加え、輪島市では市街地の火災による「複合災害」が発生。現在も現地では多くの瓦礫の山が残り、仮設住宅での慣れない暮らしを人々が余儀なくされるなど、課題は山積しています。
本リポートでは、発災直後から現在までの活動を振り返り、緊急の物質支援と心のケア、そしてコミュニティ再構築を切れ目なく続けてきた支援をご報告します。
現地の甚大な被害
被害状況 ※2024年12月24日付
●死者:489名 (うち災害関連死261名)
●家屋全壊:6,445件
●家屋半壊:23,225件
●合計住宅被害:149,724件(一部破損、床上・床下浸水含む)
出典:内閣府「令和6年能登半島地震に係る被害状況等について」
物資支援
緊急期対応
発災から時間の経過と共に、現地の物資の必要は急速に変化していきます。地震直後は、断水による飲料水や生活用水が著しく不足し、福祉施設では入所者の衛生環境を保つ手段が断たれてしまいました。
私たちは、
福祉的視点に立ったニーズ対応
発災当初はプッシュ型支援で行った緊急物資支援ですが、調査を通じて地域の要配慮者を受け入れている福祉避難所の介護用品が不足していることが判明。段ボールベッドは狭く手すりがなくて危険なこと、重度障がいの方はベッドが必要ということで、安心して休める
厳しい寒さを乗り越える燃料支援
発災から1、2か月は県内のガソリンスタンドが壊滅状態となり、日中は暖房をつけず厳しい寒さに晒される被災者が続出。大雪をもたらす寒気が舞い込んだことで、寒さによる健康被害も懸念されることから、福祉施設や在宅避難を行っている方々を中心に、
炊き出し支援
温かい食事で心と体を癒す
慣れない避難所や仮設住宅などで避難生活を続ける方々に、
春先の穴水町の自主避難所では、仙台からキッチンカーで駆け付けたYWAM宣教師のジャネットさんが振る舞う台湾デザートや、金沢独立キリスト教会婦人会の皆さんが心を込めて作った鍋料理が、疲れ切った避難者の方々に安らぎと笑顔をもたらしました。
長引く避難所生活の中で、体力的にも精神的にも疲弊している方々が多く見受けられ、自宅に戻った人が避難所を去っていくたびに、残された方々が
清掃・片付け支援
地域の暮らしを再生させるために
4月下旬から、被害調査が完了した家屋への片付け支援依頼が急増。打ち合わせやニーズ調査を丁寧に行いながら、能登ヘルプと連携して家財の撤去や清掃支援を実施しました。
地震後の大雨により発生した土砂崩れの影響で、山の上から流れてきた大木や土砂が住居を覆い、居住不可能な状態に陥ったお宅の清掃・片付け支援を行いました。タンスやソファ、テーブルなど大小の家具を運び出し、避難生活を送られている地元酒店へと搬入。こちらの酒店は、地震後に地域住民が物資を受け取る場所であると同時に、情報交換の場としても機能してきた拠点です。今回、寛ぎのための家具が設置されたことで集いやすくなり、交流を深められる「居場所」が生まれました。
七尾市では、被災した住宅の片付けや災害ゴミの処理を実施。この活動では、東京都大田区の垂穂教会から駆け付けたボランティアの方々が加わり、住民の方々と力を合わせて作業を進めました。一人暮らしや高齢の住民にとって、自力の片付け作業は身体的にも精神的にも大きな負担となります。私たちは、物理的に家屋を綺麗にしておわるのではなく、被災者の想いに耳を傾け心を整理するお手伝いをしながら、日常を取り戻す片付け支援を行いました。
コミュニティ支援
災害後のコミュニティ支援は、被災者が孤立せず心の安定を得るために欠かせません。交流の場や共同作業を通じて、地域住民のつながりを再構築し、地域全体の回復力(レジリエンス)を高める活動を継続しています。
住民同士のつながりを生み出す「場づくり」
仮設住宅で生活する住民の方々からは、「隣に住む人がどんな人か分からない」「顔を合わせる機会がほとんどない」といった声が寄せられ、
「他の被災地の経験を聞いて希望を持てた」「新しい人たちと話せて気持ちが軽くなった」といった声も多くいただき、こうした交流は他者とのつながりを通して被災者が力を取り戻すきっかけとなっています。
地震による倒壊に加え、液状化被害の大きい能登半島の入り口に位置する内灘町では、社会福祉協議会様へ寄付させていただいた各種洗剤やラップ、除菌スプレーなどの詰め合わせ300セットを、
被災地では、生活の復旧状況に地域差、個人差が生じやすく、「みんなが大変だから」と自身の不安や悩みを抱え込んでしまう方が少なくありません。 スタッフが一人ひとりの声に耳を傾け、体調や今後の暮らしに対する不安を聞き取ることで、
9月能登半島豪雨支援
地震から8カ月半が経ち、道路や倒壊家屋の復旧が進み始めた矢先の9月21日、奥能登地域は線状降水帯による豪雨に見舞われました。 私たちは地域教会やパートナー団体と連携し、断水地域や節水を余儀なくされている地域へ、「AmazonたすけあおうNippon」ほしい物リストを通じてご寄付いただいた飲料水を配布。発災から1か月後には目標を超える150箱以上が集まり、支援者さまから寄せられた温かい励ましのメッセージが、被災者の方々の心に希望の灯をともしました。
国内外からのご支援・ご協力
オペレーション・ブレッシングは機動性と連携を大切に支援活動を行っています。国内外から様々なパートナーのご協力により支援を実施することができました。一部団体・パートナーをご紹介いたします。
イスラエル大使館
イスラエル大使館のコーヘン大使が9月に被災地を訪問され、大使館から2度にわたる支援物資を寄贈いただきました。各種洗剤や石鹸などの生活用品に加え、ナツメヤシやお茶といったイスラエル製品がバラエティパックとして届けられ、被災者の暮らしに温かさと希望をもたらしました。
垂穂キリスト教会
東京都大田区から、被災地の力になりたいと、楽器による力強い賛美と傾聴、片付け支援のサポートを担ってくださいました。
素晴らしいチームワークに心から感謝致します。
HOPE JAPAN
アメリカ・オレゴン州から訪日した災害支援チーム「HOPE JAPAN」の皆さま。1月の緊急対応期から、3月の復旧活動、12月の支援活動に至るまで、豊富な知識と経験を生かして、多方面で支援を提供してくださいました
能登ヘルプ
発災を契機に発足された、複数のクリスチャン団体による支援チーム。毎朝祈りと共に、日々移り変わる現地のニーズに応える支援を続けています。
韓国アーティスト
ポールさん、パクさん
自主避難所や仮設住宅でサックスの生演奏を披露し、音楽を通じて被災者の心を慰めてくださったポールさんとパクさん。響き渡る演奏は住民の方々に癒しと希望を届けるかけがえのない時間となりました。
皆様のご支援に感謝いたします!
この1年で皆様の思いとともにお届けしてきた支援(抜粋)をご報告させていただきます。
・緊急支援物資配布(水、食料、飲料、衛生用品、毛布、発電機、燃料ほか)
・水支援:飲料水 30,028L
・その他飲料物:5,709L
・食料支援 3,232kg
・燃料支援:ガソリン 1,880L、軽油 200L、灯油 600L
・炊き出し支援:3,635食
・生活用品などのバラエティセット:4,000セット以上
・Amazonほしいものリストによる物資支援:3,505点
・支援実施:延べ17,318世帯/24,508人
・物資支援
毛布、ポリタンク、発電機、簡易トイレ、車椅子、介護用ベッド
段ボール、シキレール、ブルーシート
マスク、除菌ティッシュ、口腔ケアティッシュ、清拭タオル、
ドライシャンプー、マウスウォッシュ、生理用ナプキンなどの衛生用品
防水シーツ、各種おむつ、尿漏れパッド、お尻ふき、食事用エプロン、
使い捨て手袋、エアウォールなどの介護用品
救急キット、カイロ、トイレットペーパー、消臭剤(トイレ用・空間用)
使い捨て食器、まな板シート、ペーパータオル、発熱剤入りフードボックス
清掃用品 ほか 2024年12月26日時点
これまでにお寄せいただいた、皆さまからの温かいご支援と励ましのメッセージに心から感謝申し上げます。お寄せいただいた思いは、現地の住民の方々の生活を支え、地域に希望を届ける推進力となっています。これからも長い年数を要する能登の復興に向け、私たちは被災地とともに歩み、生きる希望と愛を届ける活動を続けてまいります。
どうぞ今年も変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。
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