単身世帯の55%に孤独感ークリスマス・ギビングが紡ぐつながりの力
12月に入り、季節外れの温かな秋から、いよいよ本格的な冬の訪れを感じる季節になりました。この冷たい空の下、今年も「クリスマス・ギビング・アクション」が始まりました。この活動は、孤独や孤立に悩む方々にギフトを届け、温かなつながりを感じてもらうことを目的としています。スタートを切ったのは、私たちの活動拠点である福島県南相馬市。震災からの復興の道を歩むこの地で、今週私たちは一人暮らしの高齢者や、外出が困難な方々のお宅を訪問しました。
訪問先のひとりである80代のSさんは、数年前にご主人を亡くし、また同時に脚を痛めたことで、外出する機会が大きく減りました。 冬場は特に脚が冷えるためこたつから出るのもつらく、近所との関わりも自然と希薄になっています。
そのような状況で私たちが訪ねると、驚きながらも笑顔で迎えてくれました。 最近の様子をお聞きし、ギフトを持ってきたことを伝えると、Sさんはスタッフの手を握り、目にうっすらと涙を浮かべておられました。 「ずっと忘れずに遊びに顔見せにきてくれてありがとねえ…ここ最近、兄弟もいなくなって、正直長生きする意味も感じられなかった。でもこうして会いに来てもらえると本当にうれしいです」と、手で涙を拭ったSさん。最後はスタッフとハグをし、笑顔で「また来年も会いましょうね」と約束をして、皆様からの支援の想いのこもったギフトをお渡しすることができました。
「単身世帯の55%に孤独感」実態調査で明らかに
このような孤独や孤立に直面する方々は、現代の日本において決して少なくありません。
今年4月1日、内閣府によって「孤独・孤立対策推進法」が施行されました。全国の2万人を対象とした令和5年の「孤独・孤立の実態調査」によれば、高齢者を含む単身世帯では、孤独を感じている人の割合が54.8%にも上り、非単身世帯の20.6%と比べて非常に高い数字となりました。
孤独感は心身の健康状態にも深刻な影響を及ぼしており、暮らしが「大変苦しい」と感じている層では、孤独感の割合がさらに高まることも明らかになっています。
出典:「令和5年人々のつながりに関する基礎調査結果」(内閣官房)
さらに統計で明らかになったのは、相談相手がいないと答えた方々は「相談してもどうにもならない」「相手に負担をかけてしまうのではないか」と考える傾向が強く、結果として相談行動が抑制され、支援を受ける機会を逃してしまうケースが多く見られました。このような状態は、「受援力(困ったときに「助けて」と言える力)の欠如」として社会課題となっており、孤立が深まる一因となっています。
「あなたは一人じゃない」というメッセージを届ける意味
しかし、今回の訪問の笑顔で示されたように、小さな声かけや訪問によって、孤独や孤立に光を灯すことができます。
「私はあなたを気にかけてくれている」「あなたのことを覚えている」ことを相手に伝えることで希望が生まれ、生きる意欲が取り戻されるのです。
「クリスマス・ギビング・アクション」のギフトは、単なるプレゼントではなく、「あなたは一人ではない」というメッセージそのものであり、人とのつながりを通じて心に寄り添う温かな贈り物です。
この活動では、全国1000世帯にギフトを届けることを目標にしています。地域教会やOBJパートナーの協力をいただきながら、被災地を含むお一人ひとりに丁寧に寄り添う取り組みを行っています。これらの活動は、孤立の解消だけでなく、地域全体が支え合う仕組みづくりにもつながっています。
このクリスマス・ギビング・アクションを通じて、私たちは改めて「つながりの力がもたらす希望」を被災地をはじめ全国各地で目の当たりにしてきました。
誰もが孤立しない社会を目指して、ぜひこの活動にご協力ください。あなたの支援が、新しい希望の物語をつくる力になります。
クリスマスの奇跡を、今年の冬も一緒に広げていきましょう。皆様の温かなご支援をお待ちしております。