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台風被害から2カ月後のフィリピン

去年の11月に台風30号がフィリピンを直撃して甚大な被害をもたらしてから2カ月あまりが経過しました。東サマル州のパグナミタンという小さな村を再び訪れたオペレーション・ブレッシング・ジャパン理事のデビッド・ダーグが、被災地の今を報告します。

パグナミタン村の子供たち。塀には「幼稚園から高校までの教育が国の将来のリーダーを育てる」と書かれています。

私はこの文章を、小さな木造家屋の中で書いています。この家は、去年の台風30号の際に一部損壊したものです。今は、暴風雨の真っ只中です。フィリピンの人々は、今年最初のこの台風に「アガトン」という名前をつけました。

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強い風に小屋はグラグラと揺れ、屋根にかぶせた防水シートは激しくはためいています。室内のいたるところで雨漏りがするので、パソコンなどの置き場所を変えなければなりませんでした。それでも、私は贅沢に過ごしているほうです。パグナミタンには、もっとひどい場所で夜を過ごす人々がいます。もう3日間、豪雨が続いています。こんなに激しい雨が、こんなに長く降り続くのは、私にとって初めての経験です。天気予報によれば、暴風雨は今がピークで、明日にはおさまってくるそうです。ひどい暴風雨ですが、去年の台風30号に比べればたいしたことはありません。村人が危険にさらされることはないでしょう。それでも人々は緊張し、不安になっています。台風30号の爪痕がまだ残っているので、何が起こるかわからないからです。

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パグナミタンの住人は約250人で、今は、その大半が避難小屋で暮らしています。上の写真は、こうした避難小屋で暮らす漁師のワルドとその家族です。彼らの小屋には、この一部屋しかありません。今夜は、どこの避難小屋でもトタン板が風にあおられてガタガタと音をたて、雨漏りがしています。子供たちはおびえています。

オペレーション・ブレッシングは、アメリカのフィリピン人ビジネスマンが設立したピノイ・リリーフ基金と協力して、この地域の多くの漁師に新しい漁船を寄贈しました。ワルドも漁船を受け取りました。ワルド一家は、オペレーション・ブレッシングが寄贈する、しっかりした造りの仮設住宅に入居することも決まっています。

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OBフィリピンのチームは、被災地の子供たちが医師や歯科医師による健康チェックを受けられるように、診療所も開いています。

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パグナミタンの子供たちは、学校の裏に捨てられた、壊れた遊具で遊んでいます。オペレーション・ブレッシングは学校を再建して、子供たちがこれからも教育を受けられるようにします。

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私は先日、「God is my…(神は私の…)」という文字だけが残った漁船の破片をみつけました。残りの部分はありませんでしたが、パグナミタンの信心深い住民は、あとに続く言葉をたくさんもっています。この2、3日で、私は「守護者」「保護者」「庇護者」など、多くの言葉を聞きました。

自宅や生計の手段や教会が破壊されても、多くの人命が失われても、村人の信仰心はゆるぎません。

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ある漁師が、かつて自宅があった場所に立ち、高潮がすべてを奪い去っていったときのことを語ってくれました。自宅が押し流される直前に、魚を突く「やす」だけ持って逃げるのがやっとだったそうです。彼は今、テント暮らしをしています。生活再建のめどがたつまで、妻と子供たちは親戚の家で暮らしています。オペレーション・ブレッシングが彼に家と漁船を贈るので、彼が覚悟していた時期よりもだいぶ早く、家族一緒に暮らせるようになるでしょう。

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私たちは、被災者の生活再建プロジェクトのために2隻のバンカボートを入手しました。バンカボートはフィリピンの伝統的な小型船で、安定をよくするために、船の両側に木製の浮材が取り付けられています。私たちは、台風が去ったら漁に出る予定です。また、住宅建設プロジェクトを推し進め、村全体に安全な飲み水を提供するため、海水から塩分を除去する淡水化装置も設置します。

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