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【夢に向かって通す糸】ガーナから

【夢に向かって通す糸】ガーナから一部の国の文化では、子どもを奴隷として強制労働につかせることも珍しくありません。
ガーナの南東地域では、毎日何千という子どもたちがボルタ湖で働き、過酷な労働環境の中で危険な仕事をこなしています。

幼い頃ボルタ湖で働き始めたサムエルくんは、2人の異なる奴隷主人のもとで9年間も労働につかせられました。
彼は母親に二度売られ、一度目は、親戚の元、2度目は知らない主人に売られました。
奴隷の子どもたちの中で最年長だった彼は、漁船の上で年下の子どもたちの面倒を見る係を任せられました。彼の仕事はしばしば夜明けと共に始まり、日が暮れるまで働く手を休めることは許されませんでした。

「毎日が過酷でしたね。」
自分の体験を、そう振り返るサムエルくん。
ボコタ湖で労働を強いられている子どもたちを救済しようとする団体もいましたが、サムエルくんの奴隷主人は一方的な知識を彼に教え込みました。
それは、「ああいった団体は信用できない。主人である自分だけが約束を守る、信用に値する相手だ」というものでしたが、その主人が労働に関して約束を守ってくれたことはほとんどありませんでした。

そこで、児童労働救済をするチャレンジング・ハイツとオペレーション・ブレッシングが、サムエルくんを強制労働から解放させる働きを始めました。
彼は当初、自分を救おうという大人に対して疑心暗鬼になっていました。

最終的に、チャレンジング・ハイツのもとに身を落ち着かせることになったサムエルくんでしたが、彼はまだ疑問が拭いきれないでいました。チャレンジング・ハイツは彼の主人が以前話していたように、信用できない組織なのではないか、そして、自分の人生を本当に変えることができるのかわからなかったのです。
【夢に向かって通す糸】ガーナから
組織が運営する社会復帰施設「ホブデ ハウス」にやってきたサムエルくんは、そこの利用者やスタッフと話をし、そこで初めて自分が児童奴隷として売られていたことを知りました。
人生初となる学校の授業に参加した彼は、もはや自分がボコタ湖の船の上に縛り付けられることはないと知り、自分の新しい未来を思い描くようになりました。

現在サムエルくんは、勤勉で親切な新しい指導者のもとで働いています。
指導者であるボニーさんは、自身も子ども時代に十分な教育を受けることができませんでした。
だからこそ、洋服の仕立ての技術を教えながら、同じような境遇にいる子どもたちを励まし、自分が身につけたスキルによって人生の扉が開けるということを伝えているのです。
【夢に向かって通す糸】ガーナから
自分の夢に向かって洋服に針を通すサムエルくん。
彼の心に思い浮かぶのは、いまだ奴隷としてボコタ湖で働いている友達のことです。
チャレンジング・ハイツを通して新しい人生をスタートさせたサムエルくんは、今度は自分が他の人々を助けたいという熱意に突き動かされています。

今後4年のうちに、サムエルくんは一人前の仕立て職人になっていることでしょう。
いつかボコタ湖の子どもたちを救えるくらいの資金が集められるよう、自分の店を経営することを目標にしながら、彼は今日も仕立ての技術に磨きをかけています。

サムエルくんは、チャレンジング・ハイツがボコタ湖から毎年救済している数多くの子どもたちの中の一人です。
この団体は、人身売買被害者である子どもが、個人として自由に社会で生きることができるよう、社会復帰施設でのケアを行っています。労働から自由にされた子どもたちに、新しい目標や未来を思い描いてもらう機会を設けることで、人生とはただ魚を取らされるだけではないすばらしいものだという希望を与えて続けています。

明日6月12日は、世界の労働条件と生活水準の改善を目的に制定された、「児童労働をなくすことを世界に呼びかける日」です。
子どもたちの未来が、安全な環境の中で守られ育てられていくよう、オペレーション・ブレッシング・ジャパンは今後も各国での児童養護活動を続けて参ります。

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