特別インタビュー:南相馬RiseUpゴスペル教室にNewWings中山栄嗣さんを迎えて
「ゴスペル」と聞くと、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
「教会で歌われる歌」といったイメージが広く普及していますが、本来ゴスペルが持つ意味は、単に音楽の一ジャンルを指すものではありません。
「ゴスペルとは、神への賛美で、そして力です」そう語ってくださったのは、九州・福岡を拠点に活動しているゴスペルシンガー、中山栄嗣さん。
その中山さんを、1月20日、みぞれ交じりの雨が降る中、福島県南相馬のゴスペル教室「RiseUp」講師としてお招きし、お話を伺いました。
●『心に傷を負っている、悩みを抱えているなという印象』
インタビュアー:
オペレーション・ブレッシング・ジャパンのクリスマスパーティーに、過去2度ゲストとして出演してくださった中山さんですが
初めて福島の被災地を訪れた時なにか感じたことはありますか?
中山栄嗣さん:
「一昨年クリスマスパーティーで初めて被災者の皆さんとお会いしたのですが
皆さん心に傷を負っている、悩みを抱えているなという印象を強く受けました。
でも、パーティーの中でゴスペルを歌っているうちに、皆さんの表情、特に子どもたちの顔がみるみる笑顔に変わっていったんです。
その姿を見たときに、この福島、南相馬に必要なのは明るさを取り戻す『希望』なんだなと思いました。」
●『前向きなメッセージによって心が解放されていく』
インタビュアー:
中山さんは海外でゴスペルを学ばれ、黒人教会のリードボーカルもされていたとお伺いしました。
ゴスペルの魅力とは何でしょうか?
中山栄嗣さん:
「ゴスペルは、1人で歌うものではありません。『ゴスペルクワイヤ』として、大人数で声と動きを合わせて歌います。
普段、僕たち日本人って、あまり感情を外に出しませんよね。日本語もあまり口を動かさない言語ですし…。
でもゴスペルでは、表情豊かに全身を使って神様を賛美する歌を歌います。
歌詞もネガティブなものではなく、心から感謝を捧げる歌なので、いつも前向きなんですね。
皆でゴスペルを歌っているうちに、その前向きなメッセージによって心が解放されていく、喜びが溢れてくる…僕はそれがゴスペルの持つ魅力だと思います。」
●『心が愛に飢えているなら、神の愛に触れてほしい』
インタビュアー:
ゴスペル教室には、性別年齢を問わず様々な方が参加して下さっています。
そんな皆さんに、ゴスペルを通して感じてほしいことはなんでしょうか?
中山栄嗣さん:
「皆さんに体験してほしいのは、日頃感じている悩みや不安といった心の重荷が、ゴスペルで取り払われていく、癒されていくということです。
そしてもし、心が愛に飢えているなら、ゴスペルの歌に込められている、神の愛に触れてほしい。
ゴスペルを歌っていくうちに、私たちの心の隙間が満たされていく、皆で一緒にその喜びを共有する。
その体験をぜひ、分かち合ってほしいと思います。」
●『それまであった地域の絆、繋がりが分断されてしまった』
インタビュアー:
昨年から定期開催している「RiseUpゴスペル教室」ですが、中山さんはこの教室にどのような期待を持っていらっしゃいますか?
中山栄嗣さん:
「そうですね…震災によって、それまであった地域の絆、繋がりが分断されてしまったじゃないですか。
長引く避難生活の中で、人と人とのつながりがどんどん失われていってしまった。
そんなところに、この「RiseUpゴスペル教室」が誕生して、皆で一緒に集まる輪ができました。
その輪が今後もっと大きくなっていけば、またそこに新たな絆が生まれ、皆さんの力になっていくんじゃないかと思います。」
●『先が見えなくても確実に『希望』はあるんだ』
インタビュアー:
目標は、仙台ゴスペルフェスティバル出場ですから、今後ますます練習も盛り上がってきそうですね!
では最後に、福島の皆さんにメッセージをお願いいたします。
中山栄嗣さん:
「震災からどんどん時間が経ってきているので、世間から忘れられていっているような感覚って絶対あると思うんです。
でも、私もそうですが、今でも被災地のことを覚えて祈ってくれている人、支援してくれている人がたくさんいます。
そのことを、心のどこかで覚えていて欲しいです。
それと、神様がこの地に起こしてくれた「RiseUpゴスペル教室」を通して、先が見えなくても確実に『希望』はあるんだということを、感じていってほしいと思います。
僕ができることは小さなことですけど、そのメッセージを届けにここに来ました。
ゴスペルを通して、歌に込められている希望と愛をぜひ皆さんに届けていきたいと思います。」
●『ゴスペルは一回体験したらやみつきになると思います』
インタビュアー:
最後に、「ゴスペル教室に参加したい!」と思ってくださっている方々にメッセージをお願いします。
中山栄嗣さん:
「ぜひ一度体験しに来てみてください。
新しいことを思い切って始めるのはなかなかハードルが高いかもしれませんが、ぜひお気軽に参加して下さい。
上手い下手や、音が取れる取れないは関係ありません。ゴスペルというのは、みんなで楽しみながら声を一つに合わせるのです。
日本語の歌も歌いますから、『英語が苦手だ』という方もご安心ください。
みんなで一つになって歌うことの楽しさは、一回体験したらやみつきになると思います。
皆さんのお越しをお待ちしております。」
「RiseUpゴスペル教室」は、月に一回南相馬市で開催しています。
南相馬市内在住の方であればどなたでも参加できますので、ご興味のある方は是非一度足を運んでみてください。
オペレーション・ブレッシング・ジャパンでは、これからもゴスペル教室を通して、福島の地から希望を発信し続けていきたいと思います。
このゴスペル教室の活動を支え、希望の輪が広がっていくために、また被災地の活気と復興に繋がっていくために、皆様のご支援をお願いいたします。
■イベント情報はFacebookページで公開