連載|災害の、その前に 災害に強い、助け合える関係とは~防災ワークショップからの気づき
災害現場で目にした
被災者の孤立や孤独を減らすために
全国各地の災害支援に携わるOBJでは、緊急期(発災から1週間)、応急期(〜1ヶ月)、復旧期①(〜3ヶ月)、復旧期②(〜2年)と4つのフェーズで、時間とともに変化する支援ニーズに対応してきました。活動の中で課題に感じたのは、復旧期に特に顕著となる被災者の孤立や、孤独感や喪失感、うつ状態などの心のケアについて。物理的な支援が充実したとしても、傷ついた心や新たに生まれた心の溝は簡単に元には戻りません。

令和6年能登半島地震後、実施している心のケア支援
震災後、ある人は「頭痛やめまいで人と話ができないようになった」と言います。「横になることが多く普段のような元気な生活が送れなかった」という人もいました。目に見えない部分だからこそ気づかれにくく、支援へつなげるアプローチや道筋も容易ではありません。OBJでは、「災害が起こる前からできることがあったのではないか」という課題を感じ、まずは誰もがひとりひとりが防災について考え、自分ごとにしてもらえるような取り組みを少しずつ推進することにしました。
「モノを備える」ことだけではない
全3回の防災ワークショップで伝えたかった大切なこと
OBJでは、6月から9月にかけて全3回シリーズの防災ワークショップを開催しました。オンラインで行ったこのテーマ別ワークショップの目的は、「災害を自分事として捉えて欲しい」という思いから。「自分が災害に巻き込まれたときにどうするか、一体何ができるのか」最初の一歩としてみんなで一緒に考えていただきたいと、講義形式ではなく、ワークショップ形式で進めました。
• #01 家庭防災 実施:6/24(水)19:00〜 参加:18名
• #02 食と防災 実施:7/30(金)19:00〜 参加:15名
• #03 地域とのつながり 実施:9/1(火)19:00〜 参加:9名

オンライン防災ワークショップ~食と防災編~
全3回のワークショップの参加者はのべ42名。ワークシートの設問に回答したり、グループで話し合ったりしながら、もしも災害が起こった場合の自らの状況について解像度を高めました。
と運営担当の防災士スタッフは振り返ります。
「人とのつながり」こそ
災害時に最も重要となる備え
そして、参加者の方から東日本大震災の際の家族の体験談が共有され、地域コミュニティのつながりの重要性も再確認されました。
と、スタッフにも思うところがありました。

地域の方々とともに仮設住宅を個別訪問(能登半島地震支援)
今回の防災ワークショップは、地域とのつながりをいかにつくるかを考える、よいきっかけとなりました。
と続けます。
平時のつながりが生む
困った時に助け合える関係
令和8年8月千葉豪雨で被災したグループホームへ物資をお届けした際には、
と、待ったなしの現場の緊迫感を肌で感じました。

被災当時の施設周辺の様子を見せてくださいました(千葉豪雨で被災した高齢者施設)
福祉や医療の現場は、被災の程度によって施設運営を継続せざるを得ないため、OBJが特に注力する支援先です。こういった支援のネットワークも、平時からのつながりによってもたらされるもののひとつです。
災害が多い日本で
ともにつくる防災
災害支援からはじまったOBJの活動は、炊き出しやBlessing Room、ソーシャルアクション、こころの支援など様々なプログラムを実施していますが、共通する価値観は「孤立させない」「困った時につながれる関係をつくる」こと。災害支援現場での課題認識から、ひとつひとつの活動を積み重ねてきました。

フードトラックでは災害時の調理などを実践。来訪者との会話も広がります。
オンライン防災ワークショップは11月に「心の備え」をテーマに実施する予定です。今回と同じように一方的に伝えるのではなく、参加者同士が互いに気づき、学び合える形式を大切にしていきます。