怒りと上手に付き合うために——アンガーマネジメント勉強会から見えた人生と社会へのヒント
2025年9月20日(土)、生活困窮者の就労意欲支援を行うNPO法人グッドニュース・プロジェクトの依頼により、OBJスタッフ髙橋(臨床心理士・精神保健福祉士)が講師を務め、アンガーマネジメント勉強会「怒りって、どうしたらいいの?」を開催しました。
仕事や生活の場面で、怒りに基づく言動が人間関係の悪化や就労意欲の低下につながることがあります。就労支援の現場では、感情のコントロールが難しい方も少なくありません。だからこそ、この学びは社会復帰の大切な一歩になります。今回の勉強会では、「怒りをなくすこと」ではなく「怒りをコントロールすること」をテーマに、参加者がワークシートを使って自分の体験を振り返りながら学びを深めました。

怒りの背景にある本当の気持ち

講師からは、怒りが生まれる背景として「権利や立場が脅かされた時」「理想や価値観が無視された時」など、現実とのギャップが大きな要因となることが説明されました。その裏には“不安”や“つらさ”、“苦しさ”といった感情が隠れていることもあります。さらに、脳の前頭前野の働きが不十分になる精神疾患の影響や、睡眠・運動・日光不足によるセロトニン欠乏といった健康面も怒りに関係していることが紹介されました。
怒りをコントロールする具体的な方法
「怒りのピークはどれくらい?3秒?6秒?30秒?」のクイズに体験をもとに考える参加者-答えは「6秒」。この6秒をやり過ごすことで、衝動的に怒鳴ったり手を出すことを防ぐことができます。参加者は「どうやって6秒待つか」を考え合い、深呼吸や数を数える、場を離れるなどの工夫を共有しました。

また、講師から「人生最大の怒りを10としたら、最近のイライラはどのくらい?」と問われると、多くの人が「2か3、高くても5」と答え、「思ったより大したことではなかった」との気づきが生まれました。
さらに「べき思考をやわらげる」練習も行われ、
●「あなたは挨拶するべき」 → 「私は挨拶してくれたら嬉しい」
●「あなたは時間通りに来るべき」 → 「何か事情があるのかもしれない」
と、言葉を少し変えるだけで怒りが和らぐ体験をしました。
継続的な学びの力
勉強会の最後に講師はこう締めくくりました。
「怒りは自然な反応なので、怒らないようにするのではなく、問題のある怒りをコントロールして適切に怒れるようになることが大切です。怒りの性質を知り、対処法を学び、怒りと上手に付き合っていきましょう。」
参加者からは、「人の話が聞けてよかった」「他の考え方を知れた」「次回までに6秒ルールを試してみたい」といった声が聞かれました。

最近では「6秒ルール」といった知識は広まりつつありますが、「知っている」と「実践できる」は違います。顔と顔を合わせたグループワークショップだからこそ、知識は体験となり、印象深い学びになります。さらに、継続的に学ぶことで「実践と振り返り」を積み重ね、怒りのコントロールが少しずつ身についていきます。時には幼少期の体験やトラウマなど、怒りの根にあるものが語られる場面もあり、人と話すことで心が解放される瞬間も見られました。
怒りをコントロールすることが人生と社会に与える影響
今回のテーマは「怒り」でしたが、これは単に感情を抑える技術にとどまりません。自分の心を整えることで、生活や仕事での人間関係は円滑になり、よりよい人生を歩むための土台となります。
そして、もし怒りをコントロールできる人が社会に増えていけば、職場や家庭での衝突が減り、人々が互いに理解し合いやすい、もっと優しい社会が実現することでしょう。


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