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「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

災害時の食事は
時に緊張をほぐし、
ひとときの笑顔を生む

災害時、食が命をつなぐシーンを私たちOBJは間近で目にしてきました。
非常時に「何を備えるか」だけではなく「どのようにして食事をとるか」も、私たちが災害支援の現場で特に重要視している点です。
それは、「食」が単に空腹を満たすだけのものではなく、緊急時の緊張感の中で安心感を与え、人とのつながりを生み出すことのできる、とても重要なものと知っているからです。

「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

たくさんの事例があります。例えば、東日本大震災。沿岸部津波で家屋が流失し、発災から2日間も食事をとれない方がいました。
また、ライフラインが復旧するまでの長い間、供給される食料がおにぎりやパンなどの炭水化物に偏っていたため、乾物や缶詰、ドライフルーツやナッツ、野菜ジュースが栄養を摂るためにも大変重宝したとのこと。「ドライフルーツや果物の缶詰があって安心した。大人も子どもも心が明るくなった」との声がありました。

「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

能登半島地震は、元日の発災のために家族の団欒から避難生活へと環境が一転。かろうじて道路が復旧し能登半島中部へのアクセスができるようになったころに実施した炊き出しでは、「肉を食べたのは23日ぶり」「炊き立てのご飯は元日以来」「当たり前ではない、温かい食事のありがたさが身に染みた」との声が寄せられました。

「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

日本全国の災害支援現場で聞いた声

長野
2019年台風被害
自宅避難の方たちは、避難所で配布された食品や炊き出しにアクセスできなかった。
熱海
2021年土石流災害
近所付き合いのない独居高齢者は、私たちで出会うまでの発災から1週間わずかな食料でしのいでいた。(地域の店も公共交通機関もストップ、被災地外まで行く手段がなかった)
宮城・秋田
2022年豪雨
豪雨災害で家屋一階が浸水。備蓄品が水に浸かりしまい食べることができなかった。「備蓄品をどこに置くかも大切」と実感したとの声があった。
福島
2022年4月
相馬沖地震
地震後、水道の水は茶色く濁っていたが、高齢のため給水所まで行くことができず、やむを得ず茶色のまま使用した。

「温め直した煮物」や「あんパン」
支援現場で目にした食のちから。

緊急時、人は命をつなぐために食事をします。食料支給品は、冷たいおにぎりや日持ちするパンなどが多くなりますが、避難を強いられる立場となった場合、経験したことのない緊張と不安の中、誰かの迷惑にならないように静かに摂る食事は、ただお腹を満たすだけのものになりがちです。

一方、例えばその食事が温かかったら、作りたてだったらどうでしょう。ささやかでも、少しの味付けや好みなどの希望が叶ったら。緊急時の対応は難しいですが、少し物資が集まった頃だから可能な寄り添った対応によって、避難を強いられている人の心はぐっとほぐれ、笑顔が生まれるものです。

「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

同じく東日本大震災のエピソードです。近所のひとり暮らし高齢の方に声をかけ、反射式ストーブで温めた煮物を一緒に食べる機会がありました。その時のおばあちゃんのほっとした笑顔…。その表情に私たちも励まされました。別の避難所では、食料支給の際に高齢の方に「何か欲しいものはありますか?」と聞いたところ、はじめは「いただけるだけでありがたいよ」と言っていましたが、何度か足を運び会話を交わすようになると「実は、あんパンが食べたいの」とリクエストが。「こんな年で気が引けるけど」と少し恥ずかしそうでしたが、次の機会に届けると、子どものような笑顔で喜んでくださいました。

“一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。(箴言17章1節)”
「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

災害時に、食事を一緒にすることが孤立を防ぎ、人と人をつなぐ接点になります。温かい飲み物や食事は、緊張をほぐし「もう少し頑張ろう」「生きよう」という希望をもたらしてくれるもの。安堵感からささやかな会話が生まれ、心もほっと落ち着くことでしょう。食事をともにする時間そのものが、孤立を防ぐ取り組みとなります。食は命を支えるだけでなく、心と地域を支えるちからがあるのです。


家庭での防災は
気軽に始められる
「ローリングストック」から

暮らしに無理なく寄り添う家庭備蓄、それが「ローリングストック」です。仕組みはいたってシンプル。お水やお茶などの飲料、カップ麺や乾麺など、ふだん食べている保存食を少し多めにストックし、期限の迫ったものから日常的に消費し、失った分をまた補充するだけ。「蓄える、食す、補う」という循環により、家庭の備えを常に最適な状態に維持する、合理的な方法です。

温かく食べる手段(カセットコンロやバーベキューコンロ、反射式石油ストーブ、発熱材等)や洗わずに使える調理器具があるかどうか、備蓄品の置き場所(水に浸からないなど)も確認しておきたいものです。お住まいの地域や勤務先での想定される災害の状況(災害規模、交通網、ライフライン、管轄の行政や流通など)は、考えてみたことがあるでしょうか。

「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

☆命を守るための備え(最低3日分〜できれば1週間分)

水(飲食用・調理用・洗い物用)
一般向け食品(カップ麺、レトルト食品、乾麺、アルファ米など)
乳幼児向け食品(ミルク・離乳食)
高齢者向け食品(やわらかいレトルト食品等)
アレルギー対応(アレルゲンの除外レトルト食品等)
病気・体調別食品
ペット用フード類

フードトラックで
平時でも温かい食事と
寄り添った会話を届けるOBJ

OBJでは「フードバンク」と「フードトラックでの炊き出し」を非常時だけなく、平時から継続して実施しています。ここでは、単なる食料支給の場としてではなく、その場に来られる方々との対話を大事にしています。平時の炊き出しは、困窮者支援、孤立を防ぐ取り組みとしての役割がありますが、それ以外にも災害時の迅速な食支援と食を通じた声掛けを行うための訓練としても、いま大きく機能しています。フードトラック導入によって、いつもとは異なる地域や教会での炊き出しイベントや防災訓練をサポートすることも可能となり、活動の幅が広がっています。


「食と防災」を考える|食は命をつなぎ、人と人との心をつなぐもの

次の災害にも、すぐ寄り添えるように。

日頃からの備えと皆さまの継続的なご支援によって支えられています。

一緒に考える防災 Blessing Lounge #2 食と防災編

OBJでは、2026年6月24日(水)にはオンライン防災ワークショップ「家庭防災編」を開催。7月にも「食と防災」をテーマにした第2回ワークショップも開催予定です。

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