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【切れ目のない支援を】顕在化する「心の問題」 住民に寄り添う送迎バス(熱海市土砂災害)


土石流被害にあった地域で、オペレーション・ブレッシング・ジャパンが無料バスによる送迎支援を開始してからまもなく1週間が経とうとしています。
未だに公共交通機関は一部が通れず、通行規制は解除されないまま。路線バスを利用していた多くの住民は突如手段を失い、買い物や病院などに行けない等、日常生活に大きな支障が出ています。
私たちは団体のワゴン車を使用して、高齢者の方、体が不自由な方を始め、被災地で生活を営む様々な人々の”足”となり、暮らしのニーズに寄り添った生活復旧のサポートを行っています。

「またぜひ乗せてね」ある乗客のエピソード

令和3年7月豪雨 熱海土砂災害支援
OBJワゴンを利用してくれたある80代の大野さん(仮名)は、椅子から立ち上がることも難しく、歩くことに不安を感じていました。通院以外に外出の機会はなく、この日もかかりつけの担当医に診てもらいにいくためにバスを申し込んだとのこと。
乗車してしばらくは表情も固く、「ここ(熱海)に移り住んでしばらく経つけど、今はどこも出歩かない。外に出て歩くのが嫌なんだ」と、辛そうに車窓の景色を眺めていました。

そんな大野さんの表情が、唯一通行できる海沿いの道に入った時、パッと明るくなりました。
車窓の向こう一面に、真っ青の海がキラキラと光っていたのです。
「家の窓から見る景色と全然違って見える、きれいだなあ」とうれしそうに風景に見入っていました。

病院の診療を済ませ自宅に到着すると、大野さんは「ずーっと安心して乗っていられた。また出かける用事ができたら連れてってほしい。本当にありがとうございます。」と笑顔で次の現場へ向かう私たちを見送ってくれました。

復興期に顕在化する「心の問題」と向き合う

長引く被災生活に、乗車する住民の皆さんの表情には疲れとストレスが見え隠れしています。
大野さんのように、ぽつりぽつりと話し出される方、乗車してから降りるまで話し続ける方など様々ですが、皆さんそれぞれ土石流によってこれまでの日常を喪失し、怒りや悲しみ、焦燥感といった複雑な感情を抱えています。
しかし、「みんな大変だから」「自分だけが困ってるわけじゃないから」と、つい自分の感情に蓋をし、周囲に気持ちを話せないままつらい感情を押し殺してしまいがちです。

私たちは、バスを利用する皆さんの生活ニーズに寄り添いながら、特には安心して不安や悲しみを打ち明けられるような送迎の支援を行っています。
利用者の方が悲しみに暮れ、あるいは怒りを向けている時には、ただただ話に耳を傾け、湧きあがる感情を解放する手助けをします。
それは、行きたい場所へただ連れていく支援ではなく、その人の不安や悲しみに寄り添い、安心して日常を取り戻せるよう見守る「心」の支援でもあります。
令和3年7月豪雨 熱海土砂災害支援
これからの生活復旧期は、被災者が自分の受けたダメージの大きさに気付き、今まで表面化しなかった心の問題が徐々に顕在化してくる段階になります。うつや燃え尽き、また孤立化による孤独死などを防ぐため、これまで以上に地域の見守りと心のケアが必要です。

行政と連携したきめ細やかな支援を

また、心の問題と共に調査の中で浮かび上がってきたのは「新型コロナワクチン接種」の予約や変更ができないお年寄りが多いことでした。チームは聞き取りを行い、市の担当課と連絡をとりあいお年寄りの不安を取り除いています。
あわせてワクチン接種会場まで無料送迎をおこなっています。

これまでの生活から一変した異常事態である「災害」。長期化すると考えられる復旧までの道のり。
皆様の温かな寄付がなければ地域の不安や負担は軽減されません。

皆さまの心温まるご支援を引き続きよろしくお願いいたします!

令和3年7月豪雨 熱海土砂災害支援活動に寄付する

オペレーション・ブレッシング・ジャパンは、社会課題の解決を組織第一の使命とし、被災地からの支援要請および支援ニーズに基づき活動する特定非営利活動法人です。45の日本の国際NGOが加盟するジャパン・プラットフォーム(JPF)が作成している「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況におけるNPO等の災害対応ガイドライン」を遵守し支援活動を行っています。

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