【心のケア】コミュニティを分断する仮設住宅の集約化
2016年3月16日 本日心のケアで訪れたのは、OBJ事務所から車で1時間半ほどの場所にある登米市の南方仮設住宅です。
すっかり顔なじみの住民の皆さんが続々と集まって計20名の方が参加してくださいました。
まずは体と頭をほぐすカンタン体操から。
参加者同士がペアを組んでイスに座り、スタッフが声に出した体のパーツをお隣さんとくっつけるという体操を行いました。
「肩!」と言われたら肩を、「人差し指!」と言われたら人差し指を隣の人とくっつけます。
声を聞いたら瞬時に身体を動かして反応しなければならないので、思った以上に頭を使います。
みなさん賑やかな雰囲気の中で体を動かし、だれかが間違った時にはドッと笑い声が起きました。
ほどよく体を使った後は、お茶会の時間です。
その際、今回で集会に来るのが最後だというおばあちゃんの話を聴くことが出来ました。
長年住み慣れたここの仮設住宅が近々取り壊されるので、別の地域にある仮設住宅へ移り住まなければならないそうです。
「この集会に来るのを一番楽しみにしていました。もう来れないと思うとすごく寂しい。」
そういって目に浮かんだ涙を拭っておられました。
数年間過ごした場所から離れ新しい場所で生活を始めるということは、簡単なことではありません。
顔なじみのご近所さんとバラバラになって暮らすということが、おばあさんの寂しさと不安を駆り立てていました。
今、仮設住宅のコミュニティーに大きく影響する動きが出てきています。
それは、仮設住宅の「集約化」です。
学校の校庭に建っていたり、ここのように空き部屋が増えた仮設住宅が閉鎖されつつあり、入居者は別の場所へ引っ越さなくてはなりません。
それに伴い、入居者がまばらになった仮設住宅では住民同士の交流が減り、孤立化が進んでいる地域もあります。
被災地では現在、仮設住宅のコミュニティー維持がかなり難しくなってきているのです。
コミュニティーはそこに住む人々の変化に気づくところでもあり、それが弱体化するということは「孤独死」といった悲惨な事態を招くことにつながりかねません。
今後はますます住民同士が集まる機会を増やしていく必要があると考えられますが、住民の方のみでその機会を設けていくのは難しい面があります。
オペレーション・ブレッシングでは、住民同士の繋がりを大切にし、少しでも仮設住宅での交流が活性化していくように、活動を続けていきたいと思います。
被災地は今、震災から5年という大きな節目を迎えました。
それを決して支援の区切りとせず、変わりゆく現地のニーズに応えた支援を続けてくことが、私たちに求められています。