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【協働者 山中弓子さんインタビュー】西日本豪雨から考える「誰も取り残さない災害支援」

オペレーション・ブレッシング・ジャパンでは、全国各地の協働者にご協力いただきながら、災害支援、心のケア活動、そしてつながり支援に取り組んでいます。
今回は、岡山県倉敷市真備町で看護師・防災士として活動しながら、昨年のクリスマス・ギビングキャンペーンに協力してくださった山中弓子さんのインタビューをご紹介します。
いまの日本が抱える災害支援の課題、そして地域に求められる「つながり」のもつ可能性についてお話を伺いました。

山中弓子さん

山中 弓子(やまなか ゆみこ)さん
兵庫県神戸市出身。
阪神淡路大震災で住み慣れた街並みの惨状にいてもたってもいられずボランティアに奔走。2005年、死者107人を出したJR宝塚線脱線事故を目の当たりにし、40代で看護師の資格を取得。
現在西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県真備町で訪問看護・訪問介護をしながら、安全安心な避難行動と避難生活の取り組み、医療・看護の防災計画策定ワークショップを開催するなど幅広く活動している。

もしもの時「逃げられない」“要支援者”の現実

2018年7月、平成最悪と言われた西日本豪雨が発生しました。私が活動している岡山県倉敷市真備地区では、川の堤防が決壊して地区の三分の一が浸水し、51人が犠牲になりました。そのうち、8割以上にあたる42人が要支援者だったのです。
※要支援者:高齢者や障害者など、災害時の避難行動や避難所などでの生活が困難な方のこと。「避難行動要支援者(災害時要援護者)」とも呼ぶ。

倉敷市では、水害の前から要支援者の名簿をすでに作成していましたが、災害時の混乱で活用されることはありませんでした。
要支援者名簿は、東日本大震災の2年後に国が自治体に作成を義務付けたもので、対象者の適切な避難を促すために、民生委員や自主防災組織に提供されることになっています。

しかし、当時激しい豪雨に見舞われた真備町では、民生員や職員も自宅が浸水し、身動きを取ることができませんでした。安否確認の電話も掛けられないほど現場は混乱していたのです。

【西日本豪雨災害】被災した家族に寄り添った支援を

一階が完全に水没したお宅の様子

その混乱のなかで、助けの手が届かず痛ましい結果につながった事例があります。

「避難場所がわからない」真備町で起きた親子の悲劇

町内に暮らす20代の女性が、5歳の娘と共に西日本豪雨でなくなりました。軽度の知的障がいがあった彼女は、生活上で多少のハンディを抱えつつも、様々な福祉サービスを受けて充実した生活を送っていました。
そこに突如豪雨が襲い掛かり、地域一体が危険な状況に陥ったのです。
相談支援員が「地域の小学校に避難しよう」と電話で伝えたものの、「場所がわからないから動けない」との返答が。
自宅に駆け付けようとしたものの、道路の浸水がひどく身動きが取れません。警察や消防、色々なところに必死に連絡を取ったものの、救助の電話が鳴りやまず、駆けつけられるかどうかわからないと言われてしまいました。

その後避難指示が発令されたのは、真夜中の午前1時半。
真っ暗な夜のなか、親子は孤立した状態に置かれ続けました。平屋のため垂直避難をすることもできず、「首のところまで水が来ている」との連絡を最後に、二人は亡くなりました。

もし災害が起きたら、一体どこへ逃げればいいのか?近所の誰を頼れるのか?
福祉サービスが充実してきている一方で、支援を受けながら暮らしている人と地域住民との間に、一種の隔たりが生まれているように感じています。
ゲリラ豪雨や地震が頻発する昨今、普段から「誰もが助かる地域」を目指して、住民同士の連携・つながりを深めていく必要があります。

「大切なのはきっかけ」クリスマス・ギビングに参加して思うこと

今回クリスマス・ギビングキャンペーンに参加して、改めて「つながりをつくること」の大切さを実感しました。
私たちがプレゼントをお届けしたのは、精神疾患を持つ一人暮らしの高齢者や、軽度の知的障がいを持つ方など、いわゆる要支援者の方々です。
普段なかなか人の訪問を受けることがないので、まず顔を見ただけで「来てくれたんだありがとう!」ととても喜んでくれました。手渡ししたお米も大切そうに受け取ってくださいました。

そもそも福祉的ケアを必要としている人たちは、災害前から地域との関わりが希薄な人が少なくありません。
障がいや何かしらのハンディキャンプを持っている人たちの対応は、「専門職やサービス提供者が中心」と、何となく福祉だけで片付けられてしまっている現状あります。
しかし、災害が広範囲に広がった場合、行政や専門職だけで全部の対象者に声かけや安否の確認をすることは困難です。障害のある方の避難誘導については、どうしても物理的に近いお隣さんや周囲の住民のとっさの行動が、大きな力になってきます。

今回のクリスマス・ギビングキャンペーンは、そうした災害時に取り残されてしまうリスクを持った人たちとつながるきっかけをつくる、防災の視点に立った重要な取り組みだと思いました。
手ぶらでの訪問はどうしても気が引けてしまいますが、この取り組みでは「クリスマスプレゼント」というとっておきのプレゼントを持って会いに行くわけですから、だれでも気軽に参加できます。
この取り組みを、地域の人を巻き込んで行っていけたら、災害時に取り残されそうなリスクのある人たちを、地域みんなで知ることができます。
たとえば、あそこのお家のおじいさんは杖をついて足腰が弱いから、早めに避難をよびかけようとか。そういう小さな気づきが大切なんです。

今後の災害支援に期待すること

災害支援において必要な支援が必要なところへタイムリーに届けられるよう、漏れなく、ムラなく、ダブりなく支援ができるように、支援者間(行政関連機関、NPO、多職種等々)の情報共有および連携を図ることは不可欠です。
そこにはもちろん民間の力が活かされます。専門職に限らず、地域に暮らすさまざまな人が支え手の可能性を秘めているのです。
平時から顔を知っていて関係性ができてないと、災害時すぐ知り合っていっしょに逃げましょうとはなりません。
でも普段から挨拶して、顔見知りになって言葉をかわすようになれば、そこに同じ地域住民としての一体感がうまれます。

クリスマス・ギビングのような取り組みに地域の人たちが積極的に参加し、自分たちから隣人の命を守るつながりを作っていく。そのアクションの輪が、被災地にとどまらず社会全体に広がって、予期せぬ災害にも立ち向かえるネットワークが築かれていくことを期待します。

山中さん、どうもありがとうございました!

いま、災害への備えとして私たちが始められることは、自分たちの地域で、皆で助け合って難局を乗り越えていくというコミュニティーを築いていくことです。
自分のいのちを大切にすると同時に、相手のいのちを思いやる。
社会的・経済的理由などから困窮し地域から孤立している人々、孤立はしていないけれども孤独を感じている方々へつながりを届けしたいと始まったクリスマス・ギビング・キャンペーンも、そうした「地域みんなが助かる社会」を目指す取り組みのひとつです。

このような取り組みを、より多くの協働者の方を交えて今後も展開して参ります。
引き続き、皆さまの応援をよろしくお願い致します。

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